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中国人観光客が「爆買」する日本の炊飯器は何がスゴいのか:窪田順生の時事日想(4/4 ページ)
中国人観光客の爆買によって、日本製の炊飯器が売れている。そんなことを聞くと、「多くの中国人は日本の技術力を高く評価しているんだなあ」と思うかもしれないが、本当にそうなのか。売れている背景を探っていくと……。
買う人を選ぶ超高級炊飯器
農学者・渡部忠世さんは、日本人は「米食民族」ではなく厳密には「米食悲願民族」だと述べた。要するに、米が主食だとか言っているが、日本人が米を好きなだけ食べられるようになったのは、昭和30年代の高度経済成長期以降のことで、それまでは年貢やら給料代わりで、食べたいけれど手が届かない高嶺の花だったからだ。
いろいろな意見はあるが、個人的にはかなり頷(うなず)ける。残すと目がつぶれたり、神様が7人のっていたり、天皇の祭祀につかわれたりと日本人にとって「米」は食料以上の意味がある。そういう「信仰」にも通じる執着みたいなものが、世界的にも異様にみえるほどハイスペックな電子炊飯器をつくりだしたと言ってもいい。
そう考えると、やはり日本人がたどりついた「悲願の結晶」を安く売ったりしてはいけない。今回の爆買を受けて、中国市場にすり寄るのではなく、むしろ、これは買う人を選ぶというくらいの超高級炊飯器をつくったらどうか。
日本の白物家電はオーバースペックだ、現地化やダイバーシティが進んでいないとかなんとかいうのもそのとおりだと思うのだが、せっかく「ブランド」が確立しつつあるのだ。「欲しくてもそう簡単に手に入らない」という米食悲願文化本来の精神を貫いて欲しい。
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