「サマータイム」がもたらす1年で“最も危険な日”:人に話したくなるコラム(3/4 ページ)
米国では3月に、1年で「最も危険」と言われる日がやってくる。その日とは、「デイライトセービングタイム」(サマータイム)が開始された直後の月曜日のこと。この日は、交通事故や職場でのケガなどが、増加するのだ。
デイライトセービングタイムが導入されている理由
たかが1時間の睡眠と侮ってはいけない。多くの米国人が、なかなか疲れが取れないと感じたり、眠気に襲われることで仕事の効率が悪くなっているのだ。事実、知人の米国人に話を聞くと、普段仕事で飛行機移動が多く時差に慣れているはずのエミリー(33)は「もう1週間以上経つのに、なんだか仕事中もずっと体が疲れているんだよね」と語り、また朝ジョギングをするのを日課にしているジョージ(35)は「デイライトセービングで時間が変わってから、朝起きるのがつらい」と嘆いていた。年に2回も強制的に時差ボケになっている状態だから、それも仕方ないのかもしれない。
ではなぜ、世界各地でいまだにデイライトセービングタイムが導入されているのだろうか? 一般的に言われているのは、経済的な理由だ。デイライトセービングタイムによってショッピングやスポーツなど屋外のアクティビティが増え、数百万ドルもの経済効果をもたらすといわれている。とはいえ、屋外に出かけるにはクルマで移動するわけであって、ガソリンの消費量が増えるという矛盾はあまり指摘されていない。
デイライトセービングタイムで恩恵を受けるビジネスもあれば、逆もある。損害を受けているビジネスのひとつが航空業界だ。ブッシュ政権時に施行された2005年エネルギー政策法では当初、実施期間が1カ月間ではなく、2カ月間延長されることが検討されていた。だがそうなれば、国際線のスケジュール調整などで、米国航空業界に毎年1億4700万ドル(約176億円)もの損失が生じることが判明。そんなことから、最終的には、1カ月間の延長で落ち着いたが、それでも航空業界ではそれなりの損失が生じているようだ。
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