満腹なのについ食べてしまう――「エモーショナルイーティング」の危険性と予防法
満腹のはずなのにお菓子が食べたくなったりしたことはありませんか? 満腹なのに食べてしまうというこの行為は「エモーショナルイーティング」と呼ばれ、大きな危険性をはらむ病気です。今回は、この病気の危険性と予防法について紹介します。
満腹のはずなのにお菓子が食べたくなったり、夜食が欲しくなったり……。そんな経験をしたことはありませんか? 体は満腹だけれども食べてしまうというこの行為、実は、ちゃんとした名称があります。
その名も「エモーショナルイーティング」。これは、大きな危険性をはらむ病気です。
今回は、誰しもが一度は経験したことのある、この「エモーショナルイーティング」の危険性と予防法について紹介します。
体の食欲≠エモーショナルイーティング
では、いったいどんな行為をエモーショナルイーティングと呼ぶのでしょうか? 主に代表される行為は、次の3点です。
- お腹が空いていないのに食べる
- 突然味が濃いものや甘いものが欲しくなる
- 食べ過ぎだと思っているのに我慢できない
お気付きかもしれませんが、エモーショナルイーティングは文字通り“感情が欲する食欲”です。つまり、体が欲する食欲ではありません。そのため自覚症状がほとんどなく、知らず知らずのうちに陥っていることが多いのです。
この症状に陥ると、朝方の腹痛や胃もたれ、目覚めの悪さや気だるさを起こしやすくなります。さらに症状が進むと食事バランスが保てなくなり体調管理がしにくくなるという、負のスパイラルを生み出すことになります。
「感情のままに行動することが、ストレスフリーでより良い生活を送れることにつながる」
と言う人もいますが、エモーショナルイーティングにおいては完全に正反対の結果をもたらしてしまうのです(関連リンク参照)。
なぜ、食べ物に手が出てしまうのか?
ではなぜ、エモーショナルイーティングに陥ってしまうのでしょうか? 大きな原因は2つあります。
1つは「ストレス」です。
食欲は、ドーパミン(摂食)とセロトニン(抑制)という2つの神経伝達物質によってバランスを保っています。ストレスが溜まるとドーパミンが分泌過剰となり摂食中枢が刺激される一方で、セロトニンが減少して抑制することができず過食傾向になりやすいといわれています。
そして、もう一つは「食習慣」にあるといわれています。
エモーショナルイーティングによって求めるようになってしまった刺激や欲求は、簡単には治すことができず習慣化されてしまっていることが少なくないようです。そのため、自分ではダメだと分かっていてもつい手が出てしまう――という現象に陥ってしまうと言われています。
また、この習慣によって栄養素が偏り、不足している栄養素を摂取しようと体が求め続けるため、過食がさらに進行してしまうのです。
「感情的な食欲なら我慢すればいいのでは?」「自分に厳しくすれば抑えることができるのでは?」と思うかもしれませんが、簡単に解決できる問題ではないのです(関連リンク参照)。
エモーショナルイーティングを改善する2つのルール
エモーショナルイーティング対策においては習慣を見直すことが最も確実な方法ですが、口で言うほどに簡単ではありません。
ですが、すぐに実践できる対処法もあります。
「もしかして、自分はエモーショナルイーティングをしているかもしれない」
「たまに急に食べ物がほしくなってしまうことがある」
という人は、これから紹介する2つの対処法を明日からの生活改善に努めてみてください。
対処法1:30分だけ我慢する
結局のところ、この行為の対処法は「我慢する」ということになりますが、ただ単に我慢するのではなく「30分だけ我慢する」というのがポイントです。エモーショナルイーティングは突発的欲求のため、一定時間を我慢することで解決が可能です。
30分以上経っても「食べたい」と思ったものは自然欲求なので食べても大丈夫。まずは、30分だけ耐えてみることから始めてみましょう。
対処法2:食べたものを記録に残す
これはダイエット時にもよく用いられる手法ですが、自分の食べたものを記録することがエモーショナルイーティングにおいても効果的です。記録することでバランスをチェックすることで偏食を防げます。
食欲という、生きていく上で切り離すことのできない欲求から始まるエモーショナルイーティングは、決してひとごとで済ますことのできない症状です。ご自身が陥ってしまう前に、正しい食生活や食事バランスを保持し続けることが大切です。(山田裕規)
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