配達の“遅れ”が少なくなる? 佐川急便の数年後:水曜インタビュー劇場(物流公演)(2/6 ページ)
佐川急便は2014年の春から、ビッグデータを本格的に稼働させている。特に「品質」と「実績」に注目しているというが、どういう意味なのか。IT部門を担当している部長に話を聞いたところ……数年後の姿が見えてきた!?
「品質」の意味
土肥: 丸山さんはビッグデータを担当されていて、膨大なデータを使って「品質」と「実績」に注目されているそうですね。まず「品質」とは、どういう意味なのか、教えていただけますか。
丸山: どういった地域で配達時間が遅れているのか、遅れているのは誰なのか、遅れは地域の問題なのか、荷物を集配した側に問題があるのか、配達した側に問題があるのか、それとも全体的な問題なのか。配達時間が遅れた原因はどこにあるのかを分析しています。
土肥: 従来は、お客さんからの声というか苦情を受けて、「こうした傾向があるなあ」といった感じで、経験に基づく勘に頼る部分が大きかったのでしょうか?
丸山: ですね。人力でおおまかなくくりで集計していました。例えば、お客さんから「荷物がなかなか届かないので、営業所に電話をしたらそのときの電話対応がヒドかった!」という意見をいただいた場合、これまではどちらかに振り分けていました。「配達時間に遅れた」または「電話の対応が悪かった」に。しかし、ビッグデータを導入することで、「配達に遅れた」でカウント、「電話の対応が悪かった」でカウントできるようになったので、現場で今何が起きているのかが分かるようになってきました。
土肥: 以前は「東京の○○区で配達時間が遅れている」ということしか分からなかったのに、いまでは「ドライバーのAさんによる配達時間が遅れている」ということが分かるようになったという意味ですか?
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