配達の“遅れ”が少なくなる? 佐川急便の数年後:水曜インタビュー劇場(物流公演)(6/6 ページ)
佐川急便は2014年の春から、ビッグデータを本格的に稼働させている。特に「品質」と「実績」に注目しているというが、どういう意味なのか。IT部門を担当している部長に話を聞いたところ……数年後の姿が見えてきた!?
スピードがどんどん速く
丸山: その荷物はどこから配送されているのか、適切な梱包サイズなのか。その荷物はどこの倉庫を経由して配送されているのか、適切な拠点なのか。こうした問題を抱えている企業に、さまざまな見直し案をご提供できるようになるかもしれません。
例えば、アパレルメーカーであれば海外から輸入する商品がありますよね。春夏の入れ替え時期になると、大量の商品が中国や東南アジアなどから入ってきます。これまでは日本の倉庫に入って、そこで検品などを行って、各ショップに仕分けをして、出荷していました。こうしたことを日本でやっているとコストがどうしても高くなる。
しかし現地(海外)でやってもらえれば、コストを安くすることができるんですよ。各ショップへの送り状を貼った状態で日本に持ってくることができれば、物流コストが安くつく。
また昨今のアパレルメーカーは売れ行きに応じて、店舗間で商品を移動させています。この店では売れていないけど、違う店では売れている。こうした商品があれば、すぐに同じモノを配送する。このほかにも、日曜日の販売状況によって、翌週末にはトレンド商品が店頭に並ぶ。このようにスピードがどんどん速くなっていく中で、私たちは「物流」という側面から何らかのご提案ができるかなあと。
土肥: ビッグデータの情報を分析することで、配送スピードをアップさせるだけでなく、コストも安くできるかもしれないということですね。現時点ではまだデータを活用した「結果」の部分が不足しているので……新薬の開発に例えると、臨床試験の事例が少ないといったところですかね。
数年後、街中で青の縞シャツに身をつつんでいる若い人を見かけたら、「あの新人もベテラン並みの働き方をしているのかなあ」と思う日がやってくるのかもしれません。本日はありがとうございました。
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