受注を減らしたのに、なぜ「チョコモナカジャンボ」は3倍も売れたのか:水曜インタビュー劇場(アイス公演)(2/7 ページ)
森永製菓のアイスクリーム「チョコモナカジャンボ」が売れている。売上高は14年連続で伸びているが、その背景にはどんな“仕掛け”があったのだろうか。同社のマーケティング担当者に話を聞いた。
商品名を「チョコモナカジャンボ」に変更
土肥: チョコモナカジャンボのこれまでの売り上げを振り返ると、興味深いんですよ。1972年に発売されてから売り上げはそこそこよかったようですが、森永製菓の中で主力商品ではなかった。その後も2番手、3番手をウロウロしていたのに、2001年以降は“独走状態”が続いているんですよね。今や誰もが認める看板商品に成長しているのですが、2001年ころに一体何があったのでしょうか?
山田: 売り上げが伸び始めたのは2001年からなのですが、ターニングポイントは1996年なんですよ。当時のアイスクリーム業界では、商品の「サイズ」「ボリューム」によって差別化を図ることが主流になりつつありました。そこで、大幅なリニューアルを試みました。センターのチョコレートソースを板チョコに変えて、モナカの山を12山から18山に増やしました。また、大きくなったことをアピールするために、それまでの商品名は「チョコモナカ」でしたが、「チョコモナカジャンボ」に変更しました。
土肥: 12山から18山にされて容量も増えていますよね。しかし、価格は据え置きの「100円」。どこをどう削って利益を出したのでしょうか?
山田: 商品はどこも削っていません。12山から18山にしたので、そのぶん原価がアップしました。当時は「市場に定着するまで耐えてがんばる」といった感じで、赤字覚悟で売っていました。
土肥: 売り上げがアップすれば規模の経済(生産量が増大することで原材料などのコストが減少すること)が働くので、それまでは耐え忍んでいたわけですね。うーん、でも大きくしただけでは結果が出ていないですよね。
山田: 残念ながらすぐに売り上げ増にはつながりませんでした。ですがサイズを変えてから2年後の1998年には、センターの板チョコだけでなく、モナカの内側にも新しく開発したチョコレートをコーティングしました。
パッケージの写真を見ていただければ分かると思いますが、アイスとモナカの間にチョコレートが挟まれていますよね。以前のモノにもありましたが、98年以降の商品には新しく開発したチョコレートがコーティングされています。このチョコの最大の特徴は「吸湿防止効果」を高めることなんです。
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