受注を減らしたのに、なぜ「チョコモナカジャンボ」は3倍も売れたのか:水曜インタビュー劇場(アイス公演)(3/7 ページ)
森永製菓のアイスクリーム「チョコモナカジャンボ」が売れている。売上高は14年連続で伸びているが、その背景にはどんな“仕掛け”があったのだろうか。同社のマーケティング担当者に話を聞いた。
モナカのパリパリ感がより鮮明に
土肥: 吸湿防止効果ってなんですか?
山田: アイスとモナカが接していると、アイスの水分がモナカに浸み込んでフニャフニャになってしまう。アイスからの水分をモナカに浸透させないためには、間にあるチョコレートが“膜”のような役割を果たさなければいけません。
研究をしている人間は、このチョコレートの配合をずっと見直しているんですよ。どうすればアイスの水分がモナカに届かないようにできるのか。ああでもないこうでもないと研究を繰り返して、1日でも延ばすことができれば、上司から「よくやった!」と褒められる。そんな研究をずっと行っているんです。
吸湿防止効果の高いチョコレートを開発しても、それをモナカにまんべんなくきれいにコーティングしなければいけません。モナカ全体にチョコレートを塗って、どこからもアイスが入りこまないようにしなければいけないのですが、この技術は簡単ではありません。
ちなみに、モナカの部分をパカッと外していただけますか。モナカにはチョコレートがきれいにコーティングされているはず。
土肥: ちょっとお待ちください。(モナカを外してみると)あっ、確かにまんべんなくチョコレートがコーティングされていますね。
山田: チョコレートに穴ができていたり、凸凹していたらダメなんです。そこからアイスの水分が抜けていきますからね。
で、ここで何が言いたいかというと、チョコレートがきれいにコーティングされたことで、モナカのパリパリ感がより鮮明になったんです。
土肥: チョコモナカジャンボの肩を持つわけではないのですが、モナカの部分はフニャフニャよりもパリパリのほうがおいしい。競合商品に比べてパリパリしているなあと感じるのですが、なぜ他社はパリパリを真似ようとしなかったのでしょうか。
関連記事
- なぜミニストップのソフトクリームは真似されないのか
某コンビニのPB商品がヒットすれば、競合他社が同じような商品を販売する――。コンビニは“真似の歴史”を刻んで、拡大してきたわけだが、真似されないモノもある。そのひとつが、ミニストップのソフトクリーム。その理由は……。 - アラフォーの「pino(ピノ)」が、いまも現役でがんばっている理由
アイスが食べたくなったので、コンビニの冷蔵ケースの中をのぞいてみると、定番商品ばかり。アイス市場は新商品が生まれにくいものなのか。そんな疑問が浮かんできたので、ロングセラーを続けている「pino」(森永乳業)の担当者に話を聞いた。 - 30年前に生まれた自販機アイスが、今も増え続けているワケ
「セブンティーンアイス」をご存じだろうか。ショッピングセンターや公園などで設置されている自販機アイスのことだが、登場してから今年で31年目。商品を扱っている江崎グリコに売れ続けている理由を聞いた。 - 王者「ガリガリ君」を倒したのは? ロッテアイスの戦略が面白い
アイスクリーム市場が活気に沸いているが、どの商品が売れているのだろうか。業界などが発表している売れ筋ランキングではなくて、消費者のレシートを分析したところ、意外な結果が! それは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.