受注を減らしたのに、なぜ「チョコモナカジャンボ」は3倍も売れたのか:水曜インタビュー劇場(アイス公演)(5/7 ページ)
森永製菓のアイスクリーム「チョコモナカジャンボ」が売れている。売上高は14年連続で伸びているが、その背景にはどんな“仕掛け”があったのだろうか。同社のマーケティング担当者に話を聞いた。
製造から店頭に並ぶまで「5日以内」
山田: 大量の注文をいただけることは嬉しいのですが、その店でなかなか売れなかったらモナカはどうしても湿気てしまう。つまり、パリパリではなくて、フニャフニャしてしまう。吸湿防止効果の高いチョコレートをコーティングしていても時間が経てば水分が浸透してしまうんですよね。これは自然の原理なので、今の技術ではどうしようもない。
繰り返しになりますが、この商品の最大のウリは「パリパリ」。お客さんにその食感を味わってもらうために、製造から店頭に並ぶまで「5日以内」を目標にしています。他の自社アイスは2〜3週間かかるので、5日以内ってものすごく大変なんですよ。どのようにして5日以内にしているかというと、必要な数量を必要なタイミングで製造しているんです。小売店や中間卸での在庫を少なくして、店頭で売れたぶんをこまめに発注してもらって、それに応えていく。
ちなみに他の自社アイスは1カ月分の発注を受けてから製造するのですが、チョコモナカジャンボだけは毎日の発注を受けてつくっています。
土肥: 営業の人からすれば、200ケースの注文があれば、200ケース売りたいですよね。それが自分の成績になるので。
山田: そうなんですよ。でも会社は「仕組み」を変えました。自身の売り上げが少ないことを理由に、月末にチョコモナカジャンボの受注額を増やすと、上からものすごく怒られるんです。
土肥: たくさん売ったのに怒られるなんて……。
山田: この商品だけは、各支店でどれだけ売れたのか、管理が徹底されています。先ほども申し上げたとおり、不自然な売り上げの数字があると、指摘が入ります。
関連記事
- なぜミニストップのソフトクリームは真似されないのか
某コンビニのPB商品がヒットすれば、競合他社が同じような商品を販売する――。コンビニは“真似の歴史”を刻んで、拡大してきたわけだが、真似されないモノもある。そのひとつが、ミニストップのソフトクリーム。その理由は……。 - アラフォーの「pino(ピノ)」が、いまも現役でがんばっている理由
アイスが食べたくなったので、コンビニの冷蔵ケースの中をのぞいてみると、定番商品ばかり。アイス市場は新商品が生まれにくいものなのか。そんな疑問が浮かんできたので、ロングセラーを続けている「pino」(森永乳業)の担当者に話を聞いた。 - 30年前に生まれた自販機アイスが、今も増え続けているワケ
「セブンティーンアイス」をご存じだろうか。ショッピングセンターや公園などで設置されている自販機アイスのことだが、登場してから今年で31年目。商品を扱っている江崎グリコに売れ続けている理由を聞いた。 - 王者「ガリガリ君」を倒したのは? ロッテアイスの戦略が面白い
アイスクリーム市場が活気に沸いているが、どの商品が売れているのだろうか。業界などが発表している売れ筋ランキングではなくて、消費者のレシートを分析したところ、意外な結果が! それは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.