受注を減らしたのに、なぜ「チョコモナカジャンボ」は3倍も売れたのか:水曜インタビュー劇場(アイス公演)(6/7 ページ)
森永製菓のアイスクリーム「チョコモナカジャンボ」が売れている。売上高は14年連続で伸びているが、その背景にはどんな“仕掛け”があったのだろうか。同社のマーケティング担当者に話を聞いた。
365日品薄状態
土肥: 繰り返しになりますが、「倍増計画」といえば、どんどん売らなければ目標の数字を達成することができません。「あのスーパーは1.5倍しか買ってくれないのか。仕方がない、あのコンビニで2.5倍買ってもらおう」といった感じで、たくさんの注文をもらえるまで会社に戻ることができない作戦だと思っていました。
そうではなく、たくさんの注文があればすべて受け入れるのではなくて、注文先の状況をみて制限する。「あのスーパーからは1.5倍も注文があったのか。売り切るのに時間がかかりそうだから0.8倍でお願いしよう。えっ、あのコンビニは2倍もか。うーん、なんとか1.5倍で勘弁してもらえないか交渉しよう」といった会話があったわけですね。
そうすることによって、お客さんはパリパリした食感を楽しむことができる。「おいしいな、また買おう」となればリピーターが増える。結果的に売り上げが伸びた。このような好循環が生まれたと?
山田: はい。
土肥: 最近は某飲料メーカーが新商品を発売したと思ったら「受注が多くて、出荷を停止します」ということになって、ちょっと話題になりました。いわゆる“売り切れ商法”“品切れ商法”ではないかと批判されていますが、チョコモナカジャンボも受注生産のような形をとっていると品薄状態になるのではないでしょうか。
山田: 正直に言って、ございます。各方面にご迷惑をおかけして申し訳ないのですが、365日品薄状態といった感じで……。ただ、こうした状況でなければパリパリした食感のモノをご提供するのが難しくなる……ということをご理解いただければ幸いです。
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