第二の営業スキル――“好印象”の与えかた:最高の営業デビュー(4/5 ページ)
前回は、第一の営業スキルとして「営業がすべき5つのこと」について紹介しました。今回は2番目のスキル「好印象の与えかた」について。
好印象を与えるコツ:(6)「ダブルバインド・パターン」で話さない
これからお話することはかなり重要です。まず、下の3つのイラストを見てください。
これらのイラストを見て、どのように感じましたか? 注目してほしいのは、イラストの言葉と表情です。
1つ目のイラストは「怒ってないです」と言いながら、表情には明らかに怒りの感情が出ています。
2つ目のイラストも、口では「喜んで」と言いながら、表情には明らかに残念さや悲しみの感情が見受けられます。
3つ目も「申し訳ございません」という言葉とは裏腹に、反省しているようには100%見えません。
これらのような状態を「ダブルバインド」と言います。ダブルバインドというのは「伝えている言葉の内容」と、その「言葉を話している人の態度」が矛盾している、相反している状況のことをいいます。
この言葉は、米国の文化人類学者のグレゴリー・ベイトソンによる「統合失調症になる人の原因は、家族内のコミュニケーションがダブルバインド・パターンであるからだ」という研究に用いられた造語から由来しています。
ただし、彼の仮説自体は今では再解釈が必要なものとなっており、「ダブルバインド」という言葉だけが「伝えている内容と表情が相反する概念」として現在でも残っています。
表情と言葉の矛盾を感じるというのは、私たち人間は、表情を読み取ることができることを意味します。つまり、言葉で話さなくても、表情でさまざまなことがらが伝えられるわけです。ですから、ダブルバインド・パターンで会話をしてはいけません。
私がセミナーでこの話をすると、多くの営業マンは笑いながら「私は、そこまでバレバレなこと、やっていませんよ……」という顔で聴いています。
しかし、それは本当でしょうか?
「この商品、もっと安くならないの?」とお客さんに言われて困ったときに、「いやぁ勘弁してくださいよ」と断りながら、苦笑いをしないですか?
「これはどういう仕組みなんですか?」とお客さんから質問されて、詳しい商品知識がなくて、「すみません。ちょっと分からないので……」ととまどったとき、苦笑いでその場をやりすごそうと思いませんか?
人間は、とっさに湧き上がった感情を隠すのが極めて苦手です。
売れない営業マンほど、困ったりあせったりしている感情をお客さんに悟られないように、その場をとりつくろおうとします。バレないように隠そうとし、できるだけ平静を装おうとします。
ところが、お客さんにはその必死さが伝わってしまっているのです。それに気付いていないのは当の営業マン本人だけという、はたから見れば滑稽な状況なのです。
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