ニュース
ロボット推進事業関係者が語る、「介護ロボット」が普及しない理由:コストだけが問題ではない(2/3 ページ)
近年深刻化する介護業界の人手不足を解決すると大きな注目を集めるのが「介護ロボット」だ。しかし、その期待とは裏腹に介護現場ではロボットの導入が進んでいない実情がある。
さらには、ロボットが技術的に高性能であることで、介護現場では使いこなせていないという状況に陥っている。介護現場のスタッフは機械に対するリテラシーが高いわけではないので、運用技術を習得するまでに相当な時間がかかる。まとまった時間を確保しようとしても、介護現場は多忙を極める。「そんなことをしてまでロボットを使うメリットはどこにあるのかと、使う側が意欲を失ってしまう」と関口氏は話す。
冷める介護関係者
介護現場と開発者、行政の間のマインドギャップも生じている。
「開発者や行政は介護分野の問題をロボットで解決したいと思っているが、介護現場はそう思っていない。介護は人がやるものという意識が強い担当者もいるからだ。例えば、介護ロボットに関するセミナーを開いても介護現場の方の参加は少ない。参加するのはビジネス目的の強い企業などが多い。行政や企業、開発者がロボットに熱くなっていても肝心の介護現場は冷めている」(関口氏)
いくら行政や開発者が介護分野の問題をロボットで解決しようと考えていても、介護現場が必要性を感じなければ普及は進まない。こうしたマインドのギャップも無視できない課題である。
関連記事
- 数年後、認知症患者は1000万人に? そうした社会で求められる価値観
認知症のお年寄りが増えている。厚生労働省が試算した数字よりも多いペースで増えていて、このままでは数年後に1000万人を超えるかもしれない。超高齢化社会を迎えるにあたって、私たちはどのように対応すればいいのだろうか。 - あなたの家族に忍び寄る「介護で家庭崩壊」の危機
あなたの親、またはあなたの配偶者の親が要介護状態になったら……。そのとき「在宅介護」を余儀なくされたら……。あまり考えたくないリスクとはいえ、家庭崩壊の危機はすぐそこまで忍び寄っている。 - Googleの月面ロボット探査レース、“第8の大陸”を目指す企業たちの狙い
月面無人探査を競う国際レース「Google Lunar X PRIZE」には、日本を含め全世界からさまざまな宇宙開発チームが参戦している。3000万ドルという賞金総額も魅力的だが、参加企業には別の狙いがあるという。 - タカラトミーが新型ロボット「Robi jr.」を発表――その特徴は?
デアゴスティーニ・ジャパンの人気シリーズ「Robi」の弟分となる「Robi jr.」が、タカラトミーから2015年1月に発売される。子どもだけでなく子育てが終わったシニア層もターゲットにしている「Robi jr」の特徴は……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.