日本人がビザ取得でハマる、大学の専攻と現在の職種の違い:新連載・日米のビジネス事情の違いを知る(前編)(7/7 ページ)
米国でビジネスに力を入れている日本の起業家は、何を考え、どう動いているのか。米Six ApartのCEO 兼 米Infocom Americaの取締役を務める関信浩氏と機楽株式会社代表取締役兼ロボットデザイナーの石渡昌太氏が語り合った。
日本人は、もっと“個人”で勝負
石渡: クラウドファンディングってやっぱり、エンジニアが自分で作ったものを、「どう?」 と言うから面白いじゃないですか。でも日本は組織的な都合で、あまりプロジェクトに関わっていない人をフロントに立たせたりする。この日本企業の戦略ってよく分からなくって。そんな中途半端な戦略が海外で受けるはずないですよね。組織の中だとしても、“熱意を持った個人”が、「今こういう理由でお金を欲している」と訴えるから、応援したくなるのに。
関: 日本はディテールより組織重視なところが強いから、全体を見ている人のほうが偉くて予算を握っています。そしてそういう人たちが、“今現場では熱くないもの”にお金をかけたりします。一方で現場的にはすごく盛り上がっているけれど、それが分かる人は予算を持っていないから、結果的には形にならないまま終わってしまうこともある。日本にももっと「個」で出れば面白いものが残っていると思うので、そうしたものをなるべく早く前面に出せるよう方針転換しないと、良い物が朽ち果てていくような気がします。
石渡: 日本人は、クラウドファンディングサービスを使うにしても、組織やブランド名を背負ってじゃないと出てこないですよね。でもキックスターターのそもそもの始まりは、既存の仕組みだとつまらないから、そうじゃないところからものを生み出す場であったはず。だから従来とは違う戦い方じゃないと、そうした場を生かせないと思うんですよね。
まあでも米国でも同じ悩みがあるみたいです。最近のキックスターターは、どんどんつまらなくなってきたと「Gizmodo」(米国発のガジェット情報を中心に扱うブログメディア)の人が言っていたりもしていたので。出たては有象無象で生まれるけれど、落ち着いてくると大資本に飲まれていくのが、スタートアップの宿命なんですかね……。
関: 結局成長しようと思うと、大きいところを巻き込まないといけない。ある意味仕方ないことかもしれないですね。
(つづく)
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