“ジャンクフードの聖地”で何が起きているのか? 食の浄化に目覚めた米国:来週話題になるハナシ(3/3 ページ)
米国でナチュラル・オーガニック業界が成長している。2014年のオーガニック食品の売り上げは、過去最高を記録。“ジャンクフードの聖地”ともいえる米国で、いったい何が起きているのか。
オーガニック志向のトレンドは加速しそう
現在、米国では非営利団体「Non-GMO Project」が行う「non-GMO」認証制度が最も浸透しており、多くの商品に同団体のラベルが表示されている。この団体によって認証されたnon-GMO商品は、3万1000以上にもなる。
もちろん認証を得るにはお金が必要になるが、その数は増え続けている。その理由は、ここ数年、non-GMO認定商品の売り上げが急成長しており、認証制度開始から4年間で85億ドル(約1兆340億円)に達している。米オーガニック系スーパー大手の「WHOLE FOODS MARKET(ホール・フーズ・マーケット)」も、2018年までに全商品のGMO表示義務化を進めている。それもまたnon-GMO認証を活性化させる一因になっていると言える。
このナチュラル・オーガニック志向のトレンドはまだまだ加速しそうだ。テクノロジーとアグリビジネスによって、いつしか「食べ物」がシンプルな「食べ物」でなくなってしまった。そのことに違和感を持ち始めた消費者は、いま「ナチュラル」な食品へと原点回帰している。食品を人工的に美しく見せたり、味を整えたり、長持ちさせるために使われる余計なものは避けたいと思っている。
スペシャルストアだけに限らず、従来のスーパーでも「ナチュラル食品」を見かけるようになったのは、そういう理由からだ。ただ一方で、購入の判断基準となるパッケージは混乱させるものが多い。今後、ますます拡大すると予測されているカテゴリーだけに、よりシンプルで分かりやすい食品の表示が求められるのは当然のことだろう。
著者プロフィール:
藤井薫(ふじい・かおる)
大学を卒業後、広告代理店や出版社を経てライターに。
『POPEYE』『an・an』(マガジンハウス)や『GLAMOROUS(グラマラス)』(講談社)などで、ファッション、ビューティ、ビジネスなど幅広い記事をカバー。日本と海外を頻繁に行き来して、海外トレンドを中心に情報発信している。
そんな思いをベースに、世界の企業動向や経営哲学をはじめ、それをとりまくカルチャーやトレンドなどを中心にして、思わず誰かに言いたくなるようなネタを提供していくコラムです。
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