“ジャンクフードの聖地”で何が起きているのか? 食の浄化に目覚めた米国:来週話題になるハナシ(2/3 ページ)
米国でナチュラル・オーガニック業界が成長している。2014年のオーガニック食品の売り上げは、過去最高を記録。“ジャンクフードの聖地”ともいえる米国で、いったい何が起きているのか。
GMO(遺伝子組み換え生物)の表示が話題に
食品大手も改革に乗り出している。米クラフトフーズ・グループは「マカロニ&チーズ」製品から防腐剤や人工着色料をとり除くことを決定したばかり。2016年1月から変更になるようだが、アイコン的なオレンジ色が天然着色料でどこまで再現されるのかが気になるところだ。ちなみに、米クラフトフーズ・グループはマカロニ&チーズのカテゴリで79%のシェアを誇っているが、今回の決定は、台頭するオーガニックブランド「アニーズ・ホームグロウン」を米食品大手のゼネラル・ミルズ社が巨額買収したことを意識してのことだろう。
また、米ネスレ社は2015年末までに、米国で販売されている同社のチョコレート製品から、人工香味料や人工着色料を取り除くことを発表。対象となる製品は250以上になる。2015年半ばころから、人工香味料や人工着色料が使用されていない製品が店頭に並ぶ予定だ。
日本でも有名なチョコレートメーカーの米ハーシー社も、大きな改革を実施する。使用する原材料を、よりシンプルで消費者に分かりやすくすることをマニフェストに挙げた。特に注目すべきなのは、人気商品の「キスチョコ」や「チョコレートバー」に使用する原材料を「non-GMO(遺伝子組み換えが行われていない生物)」にシフトすることだ。
企業が次々とナチュラルな商品へとシフトするなか、いま話題になっているのがGMO(遺伝子組み換え生物)の表示だ。
そもそも、遺伝子組み換え技術が開発された理由のひとつは、有害な農薬に耐えさせるためだ。事実、世界中で作られているGMO作物の80%以上が除草剤や殺虫剤に耐えられるように設計されている。農作物の安定供給を可能にした技術だが、一方で農薬がさらに使えるようになるために、農薬使用量を15倍も激増させたとも言われている。
消費者にしてみれば、オーガニックとまではいかなくても、できるだけ農薬が使用されていない食品を選びたいはずだ。そうした世論に後押しされ、バーモント州では2016年、全米で初めてGMO表示を義務化する。
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