世界で戦うために“やってはいけない”ことは? もっと「個」で行動しよう:日米のビジネス事情の違いを知る(後編)(4/5 ページ)
ビジネスを行う上で日本と米国ではどのような違いがあるのだろうか。前編では、キャリアパスの違い、ビザ取得の難しさなどを紹介したが、後編では……。
世界を目指すのだったら、米国から発信したほうが有利
関: 少しネガティブな話が増えてきたので、ポジティブな話もしましょうか(笑)。これまで挙げた通り日本人には改善する部分がいっぱいある一方で、もっと伸ばせるところもあると思っています。特に私が米国にいて感じるのは、日本人や日本に対する海外からの評価の高さ。たぶん、自分たちが思っている以上に、すごく評価されています。
石渡: それは分かります。私のところにFacebookやTwitterで連絡をくれる外国人も皆、日本が大好きで、行ってみたい、住んでみたいと言っている人が多いです。
関: 日本人は、国民全体のイメージとしてだけでなく、個人レベルでも丁寧で礼儀正しいと好感を持たれていることが多いですよね。この前面白かったのが、米国人のデザイナーとユニクロの話をしていたとき、ユニクロは米国でも売れていてスゴいという話題になりました。
なかでも彼が驚いていたのは、ニューヨークにグローバルの旗艦店1号店を出していること。「日本の会社なのに、どうしてニューヨークに1号店を? 不思議だ」と言っていました。米国人の発想だと、ニューヨーク出身の企業だったらニューヨークに旗艦店1号店を、テキサス出身だったらテキサスに旗艦店1号店をという感覚のようです。
石渡: ああ、日本の会社なんだから、東京に1号店じゃないの? ということですね。
関: はい。彼は、「日本はあんなに経済的に優れ、外国人観光客も多く訪れているのに、どうしてわざわざニューヨークなの? 東京なり、日本の主要エリアを1号店にすればいいじゃん!」と疑問を持っているようでした。私もそうなので人のことを言えないのですが、米国、特にニューヨークという世界の中心地に本社や主要店舗を出すことは、一種のステータスのようなところがあるじゃないですか。でも米国人からするとそこが疑問だと。その差が面白いですよね。日本人は必要以上に、自分たちを過小評価しているところがあるのかもしれません。
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