なぜ小さなコンビニが、セブンより下でローソンより上なのか:水曜インタビュー劇場(コンビニ公演)(5/7 ページ)
エキナカにあるコンビニ「ニューデイズ」の業績が興味深い。1店舗の1日の売上高に相当する日販は、セブンが65万5000円、ローソンが51万9000円に対し、ニューデイズは57万円。小さなコンビニが、なぜ大手の一角に食い込むことができたのか。担当者に聞いたところ……。
ニューデイズの命は「スピード」
土肥: ニューデイズは狭いのに、客が多い。特にラッシュアワー時の店内をのぞいてみると、人・人・人といった感じ。この人・人・人にどのように対応されているのでしょうか?
笠井: ほとんどのお客さんは鉄道を利用されているので、急いでいらっしゃる。なので、スピードが求められるんですよ。
例えば、飲料ケースを見ていただけますか。他のコンビニでは扉を付けているところが多いのですが、ニューデイズでは基本的にありません。なぜないかというと、扉を開けると通路がふさがってしまうから。そうなると、朝のラッシュアワー時には人の流れが悪くなってしまうんですよね。冷えが多少悪くなってしまってお客さんにはご迷惑をおかけしているのですが、ご理解いただければと。
ニューデイズの命は「スピード」。お客さんができるだけ早く購入できるように、私たちはさまざまな取り組みを行っています。飲料ケースの扉をなくすだけでなく、セルフレジを導入したり、人の流れをよくするように動線を見直したり。しかし、困ったこともあるんですよ。お客さんの購入時間を短くしようとチカラを入れているのですが、客単価の上昇にはなかなか結びつきません。
土肥: 悩ましい問題ですね。「缶コーヒーを素早く買えた。よかったー」で終わり。「ついでに、パンを買おう……」という人が増えないわけですね。
笠井: あと、朝と夜の顔が違うんですよ。
土肥: どういう意味でしょうか?
笠井: 分かりやすくいうと、朝はコーヒーとパン、お茶とおにぎりがよく売れます。しかし、夜はアルコールとつまみがよく売れます。そうなると、売り場の商品を変えなければいけません。店舗面積が150平方メートルほどあれば、両方を満たすことが可能かもしれません。しかし、先ほども申し上げたとおり、ニューデイズの店舗は平均48平方メートル。スペースが狭いので、両方を追いかけるのが難しい。
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