なぜ田中将大はメジャーでも通用しているのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/3 ページ)
野村監督から「マー君 神の子 不思議な子」と言われた、田中将大投手が大リーグでも活躍している。昨季は途中で戦列を離れたが、ここまでしっかり結果を残している。その理由について、地元メディアは……。
田中のブレない精神力
めったなことでは他の日本人プレーヤーについて太鼓判を押さないイチローから「十分エースになるピッチャー」とまで言われた男――。また1つ新たな「栄誉」が加わった格好の田中だが、まだ26歳という若い年齢面を考えれば、この先、イチローの評する「エース」どころかメジャーリーグでもサイ・ヤング賞に輝くような「スーパー・ピッチャー」となる可能性は十二分にあると言っていいだろう。
それにしても一体なぜ、田中はメジャーリーグでも真価を発揮できているのだろうか。日本時代のラストイヤーとなった2013年は公式戦24連勝無敗の日本新記録を樹立し、在籍していた楽天イーグルスを球団創設以来初の日本一へと導いた。その輝かしい経歴を引っさげ、名門ヤンキースと7年で総額1億5500万ドル(約161億円)の巨額契約を結び、2年目の今季までエース級の働きを見せている。
昨季途中で右肘内側側副靭帯を部分断裂し、今季も右手首のけん炎と右前腕部の張りを訴えて戦列を離れたが、むやみやたらと「右ひじ限界説」を唱え続ける米メディアのことなど“柳に風”とばかりに意にも介さず、ここまでしっかりと結果を残している。
「その理由は何か」と問われれば、筆者は迷わず「田中のブレない精神力にある」と答えたい。彼の技術面が優れているのはいまさら言うまでもない。しかし、メジャーリーグはそれだけでは通じない。特に日本人メジャーリーガーが生き延びていくには、慣れない環境下であるがゆえにタフネスな精神力が求められる。
チーム内だけでなく生活の場で日本語が通じないのはもちろん、日本時代にはまったく考えられないようなメジャーリーグ独特の強行日程にも順応していかなければならない。こうした無限のストレスにさいなまれ、これまでも鳴り物入りで海を渡ってきながら夢破れて本領を発揮できなかった日本人メジャーリーガーは枚挙にいとまがない。
だが、田中はそうではなかった。彼が過去に失敗してしまった日本人の先輩メジャーリーガーたちと決定的に違ったのは「自分は野球をやるためにメジャーリーグへ来たのだ」という強い信念をずっと持ち続けていることである。
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