なぜ田中将大はメジャーでも通用しているのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(3/3 ページ)
野村監督から「マー君 神の子 不思議な子」と言われた、田中将大投手が大リーグでも活躍している。昨季は途中で戦列を離れたが、ここまでしっかり結果を残している。その理由について、地元メディアは……。
タナカはやはりスゴい男
その現われの1つが、米国におけるライフスタイルだ。田中はホームゲームの試合を終えると、決まって真っすぐ家に帰る。遠征先においても関係者と飲みに行くようなことはまずしない。自宅のあるニューヨークにいる時は愛妻の手料理を食べ、ビジターゲームでニューヨークを離れている際には基本的に球場で用意された食事で済ませる。「ブレない姿勢」を貫いている何よりの証拠といえるのではないか。
ニューヨークの地元放送局『YES』で解説を務め、1994年にはサイ・ヤング賞にも輝いた元ヤンキース名投手のデビッド・コーン氏に田中について聞いてみると「私もキミの考えと同じだよ」と述べ、次のような興味深いコメントを続けた。
「確かにメジャーリーグに入っただけで舞い上がってしまう日本人選手もいた。例えば米国に来たからとうれしさの余り、外食で暴飲暴食を繰り返し、コンディションが狂って、それで結果を残せずクビになったケースもあった。だがタナカに至っては、そんなことなど、この先も絶対にないだろう。彼のベースには『自分は野球をやるためにメジャーリーグへ来た』という信念があるのだ。そういう揺るぎない精神力があるからこそ、異文化のさまざまな“誘惑”にも屈することがない。
これは当たり前のことのように聞こえるかもしれないが、そう簡単にできることではない。日本からメジャーに来た選手は大半が一度、日本のプロ野球界で名声を手にしている。だからストイックになり切れないのだ。しかし、次に挙げる選手は別格だ。イチローや、マツイ(松井秀喜氏=元ヤンキースなどでプレー)、クロダ(黒田博樹=現広島)……比較的新しく若い選手で言えばダルビッシュ(有=レンジャーズ)か……。
そういったメジャーリーグで成功した日本人選手に共通するストイックな部分をタナカも持ち合わせているということ。だが、あの若さで名声を手にしたら自分に甘えが生じてしまってもおかしくはないはずだが……。タナカはやはりスゴい男だと思うよ」
自分が進むべき道を見失わず、最後までまい進する。絶対にブレない、強い精神力を持ち続ける田中の心構えはビジネスパーソンの人たちにとってもグッと引かれる要素があるのではないだろうか。今後も田中の力投に注目したい。
関連記事
- 新天地でも“転校生”ではない、イチローのハイレベルな「EQ」
メジャー15年目のシーズンを迎えたイチロー選手は、今季から新チームに合流。新天地なので苦労するのでは? と思いきや、チームメートと楽しそうに会話をしている。“転校生”のような立場なのに、なぜすぐにチームに溶け込むことができたのか。 - “ハンカチ王子”斎藤佑樹の人気はなぜ凋落したのか
かつて“ハンカチ王子”として脚光を浴びた日本ハム・斎藤佑樹投手の人気が凋落している。成績がパッとしないから仕方がない部分もあるが、なぜKYな言動を繰り返すのか。その裏にあるのは……。 - 2年半の摩天楼生活で、イチローがヤンキースの面々に見せた“流儀”
ヤンキースのイチローが、来季から新天地でプレーすることになりそうだ。現場で一緒に戦ってきた他の選手たちは、彼についてどのような印象を持っているのだろうか。チームメートに取材したところ、意外な言葉が……。 - なぜプロ野球選手は「タバコ」がやめられないのか?
WBC3連覇に向けて2次ラウンド進出を決めた侍ジャパン。代表という重圧をどのように緩和しているのか。今大会で選手や首脳陣、そしてスタッフに取材して見ると、意外にも多かった答えが「タバコ」だった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.