やっぱりコンビニのデリバリーは難しい、これだけの理由:ご一緒に“おでん”いかがですか 2(2/4 ページ)
ローソンと佐川急便が組んで配達と同時にコンビニの買い物もできるサービス「SGローソン」を立ち上げた。少子高齢化による買い物難民や過疎化が現実のものとなった今、昔ながらの“御用聞きスタイル”は定着するか。
コンビニと宅配の“御用聞き”システムの穴
いいことばかりじゃないか。早速、オレも利用してみようと思われた読者もいるかもしれないが、筆者はいくつかの課題があるとみている。以前、「コンビニのデリバリーが、なかなか浸透しないワケ」という記事の中で、コンビニデリバリーが広まらない理由の1つに、“配達員の人件費確保が難しいから”と書いた。今回のサービスはその人件費問題をクリアしているかのようにみえるが、果たしてそうだろうか。
確かに、コンビニ側は配達員の確保はしなくてもいいようになっているが、佐川急便側から見るとそう簡単には言い切れないだろう。配達に御用聞きというサービスをプラスすることは人員確保の妨げになると筆者は推測する。
サービス開始時、両社はどのくらいの注文が入るかは手探り状態なため、受け身の御用聞きで済むかもしれないが、世間にサービスが浸透するにつれ、配達員のプレッシャーは増してくるだろう。企業のサービスや業績というのは右肩上がりでなければならないからだ。
佐川急便が展開している宅配メイトの内容をみると(専任配達担当者が同じ契約形態かは不明だが)、時間給契約ではなく1個当たりでの契約単価となるため、注文を受ければ配達員にも金銭的メリットはある。しかし、筆者のように多くのアルバイトと契約してきた経験を持つ身からすると、現実はそれほど甘くはない。
事業拡大を目指す会社と少しの余剰時間を収入に変えようと考える配達員の間には大きな隔たりがある。報酬が歩合制なので、配達員がある種の“ブラック化”を感じ始めてきた場合、配達員不足は容易に予測できる。1カ所で人員不足が生じれば、近隣店舗がそのエリアをカバーしなければいけなくなるだろう。そうしたエリアが拡大していけば、配達員の負担がどんどん増して、さらに慢性化する事態になりかねない。当初のもくろみである配達地域の細分化は、名ばかりの施策となるだろう。
ちなみに、某コンビニでもデリバリーサービスを行っているが、バイトに支払われる手当は、1件40円ほどだ。
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