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ABCマート、違法長時間労働で書類送検 東京労働局“ブラック企業”対策班
靴専門店「ABCマート」で違法な長時間労働があったとして、東京労働局が同社を書類送検するという。
靴専門店チェーン「ABCマート」の一部店舗で違法な長時間労働があったとして、東京労働局は7月2日、運営するエービーシー・マートと同社役員らを労働基準法違反容疑で書類送検した。同社は「誠に遺憾」と謝罪するコメントを発表した。東京労働局からの指導を受け、既に長時間残業は解消しているという。
厚生労働省は今年4月、従業員に違法な長時間労働や過重労働を強いる企業、いわゆる「ブラック企業」を取り締まる「過重労働撲滅特別対策班」(通称:かとく)を東京労働局と大阪労働局に発足。「かとく」による書類送検は今回が初めて。
報道などによると、同社は昨年、都内の池袋店と原宿店で従業員4人に対し月100時間前後の残業をさせた疑いがもたれている。
同社によると、東京労働局から指導を受けたのは昨年8月。その後、残業時間の削減や管理体制の強化などに取り組み、労使協定の上限を超える長時間残業は解消し、再発防止に向けた労務管理システムの構築などの措置を講じたという。
同社は「今回の事態を重く受け止め、お客さまや株主の期待に沿うよう、今後ともコンプライアンス順守について全力で取り組む」とコメントした。
同社の2015年2月期の連結売上高は2135億8400万円、経常利益は404億500万円だった。今期は売上高2295億円(前期比7.5%増)、経常利益414億円(2.5%増)を見込んでいる。
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