「ゴーストライター」のホントのお仕事:出版社のトイレで考えた本の話(3/6 ページ)
「ゴーストライター」と聞いて、「なんだか怪しいなあ」と感じた人も多いのでは。しかし、ビジネス書や実用書などの世界では、非常にポピュラーな存在だ。なぜなら……。
「これはやっちゃダメでしょ」という分野
ほとんどの編集者は「ゴーストライターは必要」と思っているだろうが、「これはやっちゃダメでしょ」という分野もある。小説や詩など、文芸・フィクション系の本である。
フィクションの世界では、「表現そのもの」が作品といえる。ほんの一文、ほんの一つの言葉選び、それら相互のバランスさえも、すべて作品に欠かすことのできない要素であり、「本質」である。だからこそ、フィクションの本で著者本人が書かず、ゴーストライターを起用するのは、ルール違反ではないかと考えられるのだ。
ホリエモンこと堀江貴文氏は、自身の多くの著作について、ライターがまとめていることを公言している。例えば徳間書店で『金持ちになる方法はあるけれど、金持ちになって君はどうするの?』『君がオヤジになる前に』などのビジネス書を出している。これらの本には「構成」という形でライターの名前がクレジットされている。一方で、同じ出版社の堀江氏による小説『拝金』『成金』については、どこにもクレジットは出ていない。
この二つの小説については、カバーイラストを描いた『ブラックジャックによろしく』の佐藤秀峰氏が、佐村河内守氏のゴーストライター騒動の後に、「『拝金』『成金』は堀江さんが自分で書いたものではない」とブログで暴露したことでも話題になった。ほとんどのビジネス書にクレジットが入っているのに、小説にだけクレジットがないのは、明らかに「フィクションでのゴーストライティングはまずい」と出版社が配慮した結果だと考えられる。
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