日本人選手に決定力がないと言うあなたに:「仕事人」か「会社人」(2/5 ページ)
スポーツの世界では「日本は組織力に優れているが、個人の力となるといまひとつぜい弱で、大事なところで勝ちを逃す」といったことがよく言われている。では、自分自身は「個として強い職業人」なのか。考えてみたところ……。
自分は「仕事人」か「会社人」か
あなたは、自分を一職業人として社外で自己紹介するとき、次のXとYのどちらのニュアンスにより近いでしょうか。
【Xタイプ】
〇「私は『勤務会社』に勤めており、『職種・仕事内容』を担当しております」。
【Yタイプ】
〇「私は『職種・仕事内容』の仕事をしており、(今はたまたま)『勤務会社 』に勤めております」。
Xタイプは「会社人(かいしゃじん)」の自己紹介ニュアンスです。職業人であるあなたを言い表すものとして、まず勤務先があり、次に任された職種・仕事内容がきます。他方、Yタイプは「仕事人(しごとじん)」のものです。仕事人はまず職種・仕事内容で自己を言い表します。そしてその次に勤めている組織がきます。
仕事人の典型はプロスポーツ選手といっていいでしょう。例えば、米メジャーリーガーのイチロー選手の場合、どうなるかといえば、「私は『プロ野球選手』の仕事をしており、今はたまたま『マイアミ・マーリンズ』に勤めております」です。昨年であれば、後半部分は「今はたまたま『ニューヨーク・ヤンキーズ』に勤めております」でした。
野球にせよ、サッカーにせよ、プロスポーツ選手たちは、仕事の内容によって自己を定義します。彼らは「組織のなかで食っている」のではなく、「自らの仕事を直接社会に売って生きている」からです。彼らにとっての仕事上の目的は、野球なり、サッカーなり、その道を究めること、その世界のトップレベルで勝負事に挑むことであって、組織はそのための舞台、手段になる。そういう意識ですから、世話になったチームを出て、他のチームに移っていくことも当然のプロセスとしてとらえます。ただ、それは組織への裏切りではありません。“卒業”であり、“全体プロセスの一部”なのです。いずれにせよ仕事人の働く意識は次のようなものになります。
【仕事人の意識】
- 自分の職業・仕事に忠誠を尽くす
- 組織(会社)とはヨコ(パートナー:協働者)の関係
- 仕事が要求する能力を身につけ、仕事を通じて自分を表現する
- 自分の能力・人脈で仕事を取ってくる
- 自分の目的に向かって働く
- 組織(会社)は舞台。自分が一番輝ける舞台を求める。舞台に感謝する
- 世に出る、業界で一目置かれることを志向する
- 自分が労働市場でどれほどの人材価値を持つかについてよく考え、実際その評価によって得られる仕事のレベルが決まってくる
- 自由だが、来年も仕事にありついているかどうか分からないというプレッシャー
- コスモポリタン(世界市民)的な世界観
- 「一職懸命」
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