ソニーBluetooth戦略の先陣を担う,バイオSR

Bluetooth内蔵ノートPC「バイオSR」と「バイオC1」は,ソニーのBluetooth戦略の中で第1陣となるものだ。

【国内記事】 2001年2月22日更新

 Bluetooth搭載のバイオ2機種が2月1日に発表された。ソニー初となるBluetooth内蔵デバイスは,どんな意図で開発されたのか。

 ソニーは次世代のAV機器とIT機器をつなぐインタフェースとBluetoothを位置付けており,「バイオSRはその第1陣だ」とソニーパーソナルITネットワークカンパニー,モーバイルプロダクツ部門モーバイルプロダクツ3課の部長付である鈴木直也氏は語る。

 ソニーの構想の中には,Bluetoothを利用してポータブル音楽プレーヤーからヘッドフォンに音楽を飛ばしたり,ビデオカメラから映像を携帯電話に飛ばしたり,といったことまで含まれる。そんな夢を実現させる先鋒がバイオだ。

あらかじめスペースを空けておいたBluetooth

 バイオSRへのBluetooth搭載は,そもそもの企画段階から構想されていた。ディスプレイ上部にある半透明の黒いモールドは,当初“単なる飾り”と説明されていたのだが,実はBluetoothの搭載を考慮し,スペースが準備されていた。

 初代バイオノート505のときも,“i.LINKを組み込むために場所を空けておいた”というのは有名な話だ。「バイオSRの場合,ディスプレイサイズに比べて枠が多少大きかったので,ディスプレイの脇にモジュールを埋め込むことができた」(鈴木氏)。

 Bluetoothのアンテナは,ディスプレイ上部の青く光るLEDの隣に位置し,ディスプレイ背面はその部分だけが電波を送受信するためにマグネシウムが削られてプラスティックがはめ込まれている。バイオC1の場合は,キーボード下部にモジュール,ディスプレイとのヒンジ近くにアンテナが内蔵されている。

アプリケーションレベルの互換性が問題

 バイオSRにBluetoothを内蔵しようと決めたのは,2000年8月だったという。その後,2000年内には試作品は完成していた。

 他社のノートPCが“Bluetooth内蔵モデルはこちら”というラインアップなのに対して,バイオでは,“2機種あるラインアップのうちハイエンドにはもれなくBluetoothが付いてくる”という位置付けをしている。Bluetoothを,より積極的に採用した感があるバイオだが,このタイミングでの内蔵は容易ではなかったはずだ。

 Bluetoothには,まだ規格として固まりきっていない部分があるためだ。

  • Bluetoothの規格は現在1.0bが最新だが,1.1が策定中
  • 必要とされるプロファイルが全て準備されているわけではない
  • 1対多接続のネットワーク「ピコネット」は完全に動作するわけではない

 "Bluetooth"のロゴが記載されたBluetooth機器は,ハードウェアレベルでの相互接続性が保証されている。にもかかわらず,ほかのメーカーのBluetoothデバイスとは保証されない場合が多い。バイオの場合も"バイオ同士"を推奨している。

 その理由の1つはBluetoothの規格の完成度にある。

 Bluetoothは,アプリケーションレベルでも相互接続性を保つために,機能ごとに定められたプロファイルと呼ばれるものが規定されている(用語解説)。例えば「シリアルポートプロファイル」などがあり,このプロファイルを実装したBluetooth機器同士ならば,Bluetoothを仮想COMポートとしてお互いに通信が可能だ。

 しかし,Bluetooth1.1bで規定されているプロファイルは未だ基本的なものが多く(12月12日の記事参照),また一部の機能に関してはプロファイルが規定されていないため,各メーカーが独自に機能を実装せざるを得ないのが現状だ。

 バイオに搭載されたBluetoothの場合,Bluetoothユーティリティ「BlueSpace」に「IP接続」という2台のBluetooth搭載PC間で簡易無線LANを構築する機能がある。しかし,これはプロファイルで規定されたものではない。「ほかのBluetooth搭載機器と"IP接続"を行うのは難しいだろう」と鈴木氏は語る。

 プロファイルには音声を扱う「ヘッドセット」プロファイルもあるが,これは鞄に入れた携帯電話とヘッドセットをBluetoothで結ぶ,といった用途に向けたものだ。モノラルだし音質も良いとはいえない。ソニーが考える,"携帯型音楽再生プレーヤーから音楽をBluetoothでヘッドフォンに飛ばす"といった使い方には品質的に利用が難しい。

Bluetooth 1.1の動向は?

 現在のBluetoothのバージョンは1.0b。バージョン1.1も策定中であるが,「1.1は1.0bのエラッタを修正したものになるだろう」と鈴木氏は言う。

 現在のバイオSRやバイオC1はバージョン1.0bに準拠したものとなっているが,今後登場が予定されるバージョン1.1機器との接続性に関しては問題ないという。現在のBlueSpaceでも,いくつか"このバージョンではサポートされていません"というメッセージが出る機能もあるが,バイオの場合ハードウェアの変更なくアップグレードは可能だという。

 また「バイオではBluetoothでの通信は1対1に限られる」という言い方は厳密には正しくない。PC同士では1対1でしか接続できないが,4月中旬に発売予定の「Bluetoothモデムステーション」を利用した場合,PC2台とモデムステーション1台でネットワークを組むことが可能だと鈴木氏は説明する。

次は電話機とPDA

 鈴木氏は「IT製品のペースが速いからバイオが最初に出た。ほかの分野の(Bluetooth搭載)機器も続けて登場する」と,ソニーがBluetoothにかける意気込みを語る。具体的には,携帯電話やPDAへのBluetooth搭載が予定されている。

 バイオSRでは,Bluetoothを入れると決めてから半年で製品化された。このペースで実装が進むなら,夏までには製品が次々と出てきてもおかしくない。

 当初の予想よりも普及の遅れているBluetoothだが,国内,海外を含め多くの有力メーカーが小型端末の標準無線通信インタフェースと位置付けている。2001年に入り,富士通(1月16日の記事参照)やソニーなどからBluetooth搭載のPCも現れてきた。現時点でこそ,ハイエンド機のみへの搭載だが,携帯電話にBluetoothが搭載されれば普及は加速されるだろう。

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[斎藤健二,ITmedia]

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