Bluetoothが普及した時のコンテンツは何か?(1/7)

Bluetoothについての座談会の3回目。今回は次世代のコンテンツに話が及ぶ。ブロードバンドやBluetoothが普及し,一体どういうコンテンツが出てくるのか。また,その時にコンテンツビジネスは成り立つのかというところまで踏み込んでいく。(1回目記事2回目記事

【国内記事】 2001年3月2日更新

出席者はゴールドマン・サックス証券の山科拓氏,イー・リサーチの小野浩之氏と木原輝明氏,編集部の中川純一と斎藤健二。(以下,敬称略)

ブロードバンド時代のコンテンツ

小野 話はBluetoothとは関係ないのですが,携帯電話はどのように進化していくのでしょうか。

山科 モバイルインターネットというテーマで,いろいろと考えているですが,ないんです。インフラコストが高すぎて,サービスの方で期待しにくいのです。会社が出てこないですから。コンテンツで数千円もとれるというわけではありません。

 だからこそ,高いインフラコストを払ってまでやることをユーザーは思いつかないんです。実際のところ,メールぐらいしかありません。あとは,エンターテインメント,要は暇つぶし。この値段だったら,いいやという感覚です。そこにiモードの成功があるのです,技術の成功ではなくて,ビジネスモデルの成功ですね。

小野 あの小さい画面で高いコストを負担して,映像を送ったりするニーズが本当にあるのでしょうか?

一同 ないですよ。

中川 64Kbpsで動画を見ましたが,見てるのは,テストをやっている人だけじゃないですか。

斎藤 ユーザーのニーズもなければ,つくり手もペイしないのでつくりたくないというのが実態です。

小野 普通の固定電話がADSLなどで進化すれば,モバイルの進化というのは,もう完成期に入ったと考えていいのでしょうか?

山科 音楽配信はリアルティがありますが,制作コストは最低1曲300円近くかかります。300円払ってダウンロードするということがどこまでワークするのか?

 コーディングとしてはPCMでやりますので,基本的に1分1MBですよね。それではデータの量としては大きい。データを圧縮して,MP3で1曲100円でやるとすると,それを聞く人が何人いるのか疑問ですね。

 実生活でMP3ウォッチを使っている人を見たことがありますか? 私は1回だけあります。これだけ値段が下がってきてもですよ。音楽聞くならばウォークマンであって,そこまでして音楽聞く人はいないのではないでしょうか。

斎藤 携帯電話にいろんな機能を取り込むというよりは,いろんな機器に電話番号がついていて音楽が送信されてくるという方が便利だと思います。

中川 ダウンロードして聞くというよりは,普通にリアルタイムで聞けるくらいのスピードになれば市場性はあると思いますね。

山科 モバイル環境で画像を見るとなると,エンターテインメントでは映画のプレビューを見るということは考えられますが,しかし,背景にある競争ということを考えると,B2Bコマースがもてはやされた時期に既存の小売との競争ということが全く無視されたように,雑誌との競争があります。

 価格では,東京ウォーカーやピアの方が安く,情報量も多いとなると,モバイルを利用する理由がどこにあるのか。

中川 雑誌の編集は電子化されていますので,データが扱いやすくなり,データベースができていくという気がしませんか?

山科 同じ様なことを凸版印刷がやっていますが,あまり大きくなっておらず,ニッチに留まっている印象ですね。

斎藤 表示デバイスの問題という意味ですか。

山科 純粋に経済性の問題です。要するに,お金を払って何をするかというユーザーのことを考えていないのです。

 B2Cコマースの議論は,コストがかかっていないので,価格をそのままおけばという前提があるのに,それを語られずにexponential(=累増的に)に利益が出ます,売り上げがたてば,利益が出ますという,そんな甘い話はありません。同じことは,こういったコンテンツでも考えなければいけないと思います。

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