Mobile:NEWS 2003年8月1日 10:57 PM 更新

携帯の“小技”を探せ──辞書編

携帯電話への辞書搭載が相次いでいる。和英、英和、国語……。魅力的な機能アップには違いないが、ネット端末としての携帯電話のあり方を見直す時期に来ていることも示唆している。

 売れ筋商品の機能を取り込んでいくことにかけては、携帯電話はほかの追随を許さない。このところ販売が好調な「電子辞書」も携帯が目を付けている機能だ。

 最新端末のいくつかは、既に「英和」「和英」「国語」辞書を内蔵している。さらに、外部メモリを利用した“後付辞書”も増えてきた。

キャリア端末和英英和国語
ドコモF212i4万
auA3015SA1万73007000
auA1303SA1万73007000
J-フォンJ-T0103万60004万3万
J-フォンJ-SH536万60003万30006万2000
各機種で利用できる語数
「J-T010」「J-SH53」は外部メモリにデータを置く。J-T010の辞書データは標準付属。J-SH53の辞書データは別売り(価格などはこちらを参照)。カタカナ新語辞書も用意されている

※“小技”を探せコーナーでは、「自分の使っている携帯の、この機能が便利!」「こんな機能が携帯にあったらいいのに……」といった情報を募集しています。  ご意見送付のページから、内容の先頭に「小技:」と入れてお送りください。

便利な辞書活用〜課題はアプリ間の連携

 多くのユーザー──特に学生の間では、「携帯に辞書を載せてほしい」という要望が多い(7月3日の記事参照)。実際に使ってみても、確かに便利だ。

左はJ-T010の辞書画面。辞書データはSDカードに入っているが、検索ソフトは内蔵アプリケーションのため、ほかのアプリと連携した利用が可能。データはPC向けの電子辞書として古くからの歴史がある学研の「辞スパ」だ。右はF212iの辞書。英和辞書だけだが手軽だ


J-SH53で「現代新国語辞典」を引いてみた。市販辞書だけに、見出し語の多さも解説の豊富さも群を抜く。ただし、別のアプリケーションからの連携は今ひとつ。別売りというのもイタイ

 機能面でのチェックポイントもいくつかある。ひとつはほかのアプリケーションとの連携だ。単に突然「辞書をひきたい」と思うこともあるが、Webを見ていたりメールを書いているときに辞書で意味を確認したくなることは多い。いま立ち上げているアプリを終了させることなく辞書が引けたら便利だ。また、辞書で引いた結果をメールなどに引用できるとさらにいい。

 F212iは、検索した結果をメールなどに貼り付けられる。J-T010はかなり連携が進んでおり、メール作成中に辞書を起動して調べものをしたり、結果を本文に貼り付けることもできる。J-SH53は、電子ブックビューワで辞書を閲覧するため、連携は今ひとつ。別個のアプリとして立ち上げ、結果のコピーも行えない。

 また、収録語数のみで判断しないほうがいい。見出し語数は同じでも、辞書データ内蔵と外部メモリ利用では解説の有無や用例の有無などに大きな差があるからだ。内蔵型のほうがほかのアプリとの連携は行いやすいが、情報量は外部メモリ型のほうが豊富。J-T010は、辞書データは外部メモリに持ちながら、専用の検索エンジンは内蔵している。内蔵アプリとの連携も行いやすく、かなり便利だった。

“携帯で辞書”のもう一つの可能性

 携帯電話に辞書を盛り込むには、専用辞書アプリを搭載する以外にも方法がある。既に入っている辞書──かな漢字変換辞書を使うやりかただ。

 最新端末の多くは、辞書ダウンロードに対応しており、追加辞書のラインアップの中には「英和辞書」などが混ざっている場合が多々ある。

 現在のところ、追加辞書のサイズが小さい(ダウンロードできるファイルサイズに制限があるのが最大の理由だろう)ため、あくまで簡易的なものでしかないが、ここに本格的な辞書を入れることを狙っているかな漢字変換ソフトメーカーもある。

“携帯で辞書”の難しさと可能性

 携帯電話に辞書を入れることは、これまで最適な要素と難しい要素が両方あった。

 最適な要素は、「常に持ち歩いている」「解像度の高いカラーディスプレイを持っている」「検索などが行える高速CPUが載っている」「文字入力ができるキーがある」ということだ。市販の電子辞書でも価値があるのは取り出せる情報だが、大きなディスプレイや打ちやすいキーボードにコストがかかっている。携帯電話ならば、そうしたハードウェア的な要素は既にそろっている。

 難しい要素は、決して潤沢とはいえないメモリ容量、そして通信キャリアの思惑だ。携帯のメモリ容量は64Mバイト程度。例えばJ-SH53向けの辞書データは、国語・英和・和英の合計で62Mバイトにも達する。昨今、携帯の部品の中で最もコスト比率が高いのはメモリとも言われており、辞書にメモリを割り当てるのはかなりの決断が必要となる。

 キャリアの思惑も絡む。辞書を内蔵して使ってもらっても、通信料には結びつかないからだ。それよりも、公式コンテンツとして多数存在する辞書サイトを使ってもらったほうが、キャリアとしてはうれしい。

 昨今通信を使わずに辞書が引ける端末が増えてきたことは、SDカードなど外部メモリスロットの搭載により、ユーザーが自分の判断でメモリを追加できるようになってきたことだけでなく、キャリアの意識が少しずつ変わってきていることを思わせる。



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[斎藤健二, ITmedia]

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