2006年は日本市場にフォーカス──Nokiaの戦略と課題(2/2 ページ)
「2006年、大きくフォーカスしていきたいのは日本」──。アジア太平洋地域でNokiaのマルチメディア系端末ディレクターを務めるスティーブ・ルイス氏は話す。その戦略について聞いた。
ITmedia 既にリリースされたNokia端末について、ユーザーから(1)UIが日本の作法と異なる (2)日本の新端末では当たり前になってきたQVGAに対応していない などといった声も挙がっています。
ルイス氏 UIは確かに日本の標準的な仕様とは異なりますが、ワールドワイドでは高い評価を得ており、「もしかすると一番使いやすいかもしれない」という声も聞いています。難しい点もあるかもしれませんが、その一方でほかにはない使いやすさもある。
ディスプレイに関しては、既に発表した3G端末の中にはQVGAより解像度が高い352×416ピクセルの液晶を備えた「N80」のような端末もあり、今後こうした高解像度液晶の端末を日本でもリリースできればと思っています。
ITmedia 日本市場でシェアを拡大するための課題は。
ルイス氏 日本は高度な携帯電話向けサービスが提供されている重要な市場。一方でNokiaは素晴らしいマルチメディア端末を用意しています。日本の通信キャリアと協力し、市場動向を注意深く見ながらベストな形で製品を提供できればと考えています。
グローバルな市場でNokiaは幅広いレンジの製品を提供しており、日本市場でもチャンスをとらえて早く製品レンジを拡大したいですね。
私たちは、日本市場の全ての通信キャリアと協力する形で事業を行っています。世界市場では固定とモバイルの融合という興味深いトレンドがあり、私たちも既に3G端末や無線LANに対応した端末を発表しています。こうした技術を組み合わせた製品のニーズが出てくるのは時間の問題で、ここもサポートできればと思っています。
Nokiaの「NSeries」とは
「NSeries」は、Nokiaが開発するコンシューマー向けマルチメディア端末の総称。開発チームは大きくマルチメディアエクスペリエンスチームとマルチメディアコンピュータチームなどで構成されている。
NSeries開発の柱となっているのは「See New」「Hear New」「Play New」「Watch New」「Do New」という5つのNew。カメラを使った写真や動画撮影、モバイルテレビやビデオの視聴、音楽やラジオ、ゲームなどのマルチメディア分野にフォーカスし、これまでにない新しいマルチメディア体験を分かりやすいUIで使えるようにすることを目指している。こうした役割を担うのがマルチメディアエクスペリエンスチームだ。
一方で、携帯インフラのブロードバンド化に伴う携帯電話のコンピュータ化に対応するのがマルチメディアコンピュータチーム。移動中でも携帯電話だけでWebブラウジングや電子メールの送受信がストレスなく行える「ポケットの中のモバイルコンピュータ」の開発を目指す。
両チームの協力により、モバイルTV規格のDVB-Hに対応したフルブラウザ(2005年11月の記事参照)端末「N92」(2005年11月の記事参照)や無線LAN内蔵のフルブラウザ端末「N80」(2005年11月の記事参照)といった高性能なマルチメディア携帯が生まれているとルイス氏。「2006年には、ワールドワイドでもっと多くのマルチメディア端末を上梓したい」としている。
「10年前には空港に行くと、人々はフライトの前に固定電話を使って友達に電話していたが、今では空港に設けられたインターネットキオスクや携帯電話がそれにとって変わってきている。10年後にはインターネットキオスクすらなくなり、みながポケットの中にモバイルコンピュータを持っている──ということが起こるのではないかと思っている」(ルイス氏)
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