Bluetooth、数年後に100Mbpsへ──無線動画配信も想定。普及の鍵は“携帯”(2/2 ページ)
Bluetooth SIGエグゼクティブ・ディレクターのマイケル・フォーリー氏は、2008年初期にBluetoothの次世代バージョンで高速通信に対応する予定であることを明らかにした。100Mbpsの通信速度を目指し、動画データの配信も可能になるという。
数年後、通信速度100Mbpsへ
2006年12月現在Bluetoothのバージョンは2.0+EDR(Enhanced Data Rate)だが、このほどv2.1+EDRが認証された(速度はv2.0+EDRとほぼ同じ)。そして2008年初期に次のバージョンとして高速通信に対応する予定であることを明らかにした。Bluetoothにおいて、短距離(10メートルほど)で高速に通信できるUWB(Ultra Wide Band)を有効に活用し、WiMedia ALLIANCEと協力しながら100Mbpsの通信速度を目指すという。
通信速度の向上により「高画質な動画データのストリーミング配信」も可能になるという。
なおBluetoothの普及にあたって、同団体はインターネットから携帯機器への情報転送を支援するアプリケーション「TransSend」も推進したい考え。ブラウザのプラグイン(ActiveX コントロール)としてInternet Explorerに組み込み、PCで表示する文字列や画像などを、Webサイトに用意されるリンクをたどる(TransSendアイコンをクリックする)だけでBluetooth対応機器へ転送できる仕組みだ。TransSendアイコンの操作で自動的に通信範囲内のBluetooth対応機器を検索し、ユーザーは検出された機器の中から情報の送信先を選択する。
例えば興味を持ったお店の情報──店の所在地、電話番号、地図、店内・周辺の写真など──を掲載するWebサイトがあるとする。TransSendの利用により、所在地はvCard形式で、予約時間や約束した時間(スケジュール)の文字列はvCal形式で、○駅から3分/△銀行を左折などのアクセス案内は文字列で、店までの地図は画像として、ブラウザ上での操作のみでBluetooth端末に転送できる。
「我々は高速であれ低速であれ、どんなデバイスであってもBluetoothはサポートしていきたい。ワイヤレスのPAN(Personal Area Network)においてどのようにデバイスが動いていけばいいのか、そういった部分を整理していく組織でありたいと思っている。ただし、やはりBluetooth技術の促進・普及に最も貢献してくれるのは“携帯電話”だと思う。日本でもBluetooth携帯が増えてきている。2007年度は、より搭載メーカー・機種も増えるだろう」(フォーリー氏)。
累計9445万3700契約(2006年11月末現在)を擁する日本の携帯電話市場。ヘッドセットやDUNによるPC+ダイヤルアップでの利用のほかに、A2DPによるワイヤレス音楽再生、SPPを利用した近距離通信ゲームアプリなどBluetoothならではの機能を活用する端末も増えた。
昨今、音楽+映像のコンテンツ再生も携帯に高く望まれる機能の1つとなっているが、高画質な動画ストリーミング配信を可能とするほどの通信速度が実現できれば、利用シーンやニーズもかなり変化すると思われる。仮に携帯へのBluetooth搭載率が大きく増えたならば、総じてカー用品やヘッドセット・ハンズフリー機器を中心とする周辺デバイス市場も活性化し、DUNやTransSendなどを含めて、もともと携帯と親和性のあるPCへも標準でBluetooth機能が内蔵される機会も多くなるだろう。
「Bluetooth普及の鍵は“携帯”」。現在、Bluetooth対応携帯のラインアップが少ないドコモとau端末は2007年度、どのくらいラインアップを増やしてくるだろうか。
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