“P”が変えたこと、どうしても変えられなかったこと(後編):開発陣に聞く「P904i」(3/3 ページ)
“P”らしさは損ねずも「何か新しい。何か変わった」と感じられる端末を目指したパナソニック モバイル製の「P904i」。後編は、より細かいデザインの意図や裏側、そして新機軸のNewカスジャケの秘密などに迫っていく。
「カスジャケは全種類、別金型」──お金かかってます
「端末の骨格まで変化させる、新機軸のNewカスタムジャケット」。P904iの発表時にこのように告知されたカスタムジャケットだが、骨格とはどういうことなのか。
「今までのカスジャケは、和風、洋風、柄物など、柄や色で遊ぶものでした。しかし、もともとカスジャケを何とかしたいと思っていたということもありますが、同じようなパターンで用意してもつまらないですよね。骨格と表したのは……ちょっと大げさな表現にはなってしまいましたが、要はサブディスプレイの形をさまざまに表現したことを意味しています」(古宮氏)
携帯を俯瞰して眺めた時、色や形状を含めた閉じた時の背面の見た目がその印象を決めることが多い。背面パネルの色や造形、カメラのレンズなどのほかに、最近はサブディスプレイの大きさや形状なども、いわゆる携帯の“顔”の要素になっている。
P904iには、4色のボディカラーそれぞれ1枚のNewカスタムジャケットが付属し、フロスト、サーキュラー、ヘアライン、ファセットの4種類を用意する。サブディスプレイの枠は正方形、長方形、そして円形、楕円形と、どれも異なる形状で表現され、加工デザインの違いも相まって、装着するだけでがらっと“顔”が変わるのが大きな特徴だ(関連記事参照)。
「今回のノンジャケスタイルは、サブディスプレイ部がハーフミラー調で、枠がありません。それを有効に活用してNewカスジャケに大きく生かしました」(古宮氏)
もう1つ、Newカスタムジャケットは金属調の加工デザインに関しても従来のものとは大きな違いがあった。
「じつは、今回のカスジャケは全種類で金型が別なのです。いままでは1種類の形状でインモールドフィルムで柄や色を変えていただけでしたが、今回は枠の形状や加工デザインも異なるためです。透明のクリアジャケットも含めて計5種類、すべて異なる金型で製造されます」(山本氏)
その加工デザインは、ジャケットの裏面に彫られた現実の“ミゾ”で表現されている。金型の製造は、そのミゾの間隔が少し違うだけでミゾの目がつぶれたり、まったく違うできになってしまうため、トライ&エラーの連続だったという。
「この部分は表には出にくいところですが、そうだからこそ非常にこだわりを込めたものにしました」(萩原氏)
「デザインのモックアップを仕上げる段階では、アルミの無垢板で同様の加工を施してプレゼンなどを行っていました。アルミ板で作成した寸法をそのまま応用してもだめなんです。まったく違うものができあがってしまうんですよね。蛇足ですが、実はこのアルミのもの、すごくできがよかったんですよ(笑)」(古宮氏)
……限定でもちょっと高くなってもいいので、そのアルミ版カスジャケも販売してくださいよ。
なお、従来のカスタムジャケットと同様に、同社の携帯情報サイト「P-SQUARE」限定のReMOLDeバージョンやデザイナーズバージョンなども用意するという。
オリジナルカスジャケの一例。アーティストデザインなどのほか、漆塗りのものまで用意するようだ。なお、P904i購入ユーザーに、3種類のオリジナルカスジャケを先着4945名に進呈する企画や、抽選でディズニー柄ジャケットなどが当たるキャンペーンなども行われる
ケータイは常に携帯し、毎日触れるもの。それだけに機能と同じくらいデザインへの依存度も高い。
捨てられない、捨ててはならないアイデンティティと、変化するユーザーニーズにも対応しなければならない焦燥。そんな状況の中で、従来の機種すべてを担当したわけではなかったデザイン担当の古宮氏のニュートラルな考えから、このP904iの“P”らしさを継承しつつも新たな雰囲気を演出する形が自然に生まれたのだと思う。
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