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ありがとう、そしてさよなら――“D”ケータイの思い出Mobile Weekly Top10

3月3日、三菱電機が携帯端末の開発から撤退するという衝撃のニュースが流れた。いち早くデザインコンシャスなストレートケータイやメガピクセルカメラケータイを投入し、技術面でもユニークな試みをしてきたメーカーであるだけに、撤退が惜しまれる。同社のこれまでの歩みを振り返ってみた。

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+D Mobile Weekly Access Top10

2008年02月27日~2008年03月05日

  1. ロボットに変形するケータイ──人工知能も備えた「フォンブレイバー 815T PB」
  2. au“プリペイド乱売”問題の真相
  3. 三菱電機、携帯端末から撤退──“D”端末は「D705i」「D705iμ」で歴史に幕
  4. どうも盛り上がりに欠ける携帯春商戦──新機種購入はまだ“これから”?
  5. “ファミ割”家族への通話が24時間無料に――ドコモが4月1日から
  6. ウィルコム、「Atom」搭載のVistaマシンを開発――次世代PHSにも対応
  7. 春モデル向けの新サービスをチェックする――au編(前編)
  8. 寝ながらテレビ、覗き見も防止──“やっとできた、わたしのスリムワンセグ”「P705i」
  9. 3.5インチ液晶搭載の「P905iTV」発売──バリュー一括5万半ば、分割2100円/月から
  10. ソフトバンク版“VIERAケータイ”「920P」発売──新規分割価格は実質1180円/月から

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 3月3日、三菱電機が携帯端末の開発から撤退するという衝撃のニュースが流れた。2007年には三洋電機が携帯事業の京セラへの売却を決めるなど、なじみのブランドが次々と消えていくことには一抹の寂しさを覚える。

 かつての普及期のような端末販売の伸びが見込めないことや、各キャリアの販売方法の変更による出荷台数の停滞が懸念されることから、2008年は携帯メーカーにとって試練の時期になりそうだ。

業界のチャレンジャーだった三菱

 筆者が初めて“D”ケータイに注目したのは、三菱電機がJ-フォン(現ソフトバンクモバイル)向けのストレートケータイ「J-D06“graphica”」を発表したときだ。当時の端末は折りたたみ型が主流で、ストレート型端末は“古くて時代遅れ”と思われていた。そこにデザインにこだわったストレート型を投入し、ケータイデザインの重要性をアピールしたのだ。同端末は、デザインのよさで注目を集めた初代INFOBARよりも早く市場に投入されており、デザインケータイのさきがけともいえるだろう。

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デザインにこだわったストレート端末「J-D06“graphica”」

 そして2003年には、初のメガピクセルケータイ「D505i」をリリース。スペック上は63万画素CCD(63万画素スーパーCCDハニカム)となるが、信号処理で解像度を向上させる技術の採用で、ケータイカメラによる123万画素相当の静止画撮影を実現した。


初のメガピクセルケータイとして登場した「D505i」。ヒンジ部に備えたカメラは端末を閉じると底面に現れ、デジカメライクなスタイルで写真を撮影できた。なお半年後にリリースした「D506i」は100万画素のスーパーCCDハニカムを搭載し、2Mピクセルモードでの撮影に対応した

 2004年には、感圧式のタッチパッドと加速度センサーを搭載した「V401D」を発表。“なぞって操作”や、写真の縦位置/横位置の自動調整など、最近のトレンドともいえる機能を搭載した端末を、4年前に市場に投入していた。


側面のタッチパッドで“なぞって操作”を実現した「V401D」。加速度センサーで写真の縦位置/横位置を自動調整する機能も搭載

 ほかにもCDプレーヤーのような四角い形の音楽ケータイ「Music PORTER」、モバHO!ケータイ「MUSIC PORTER X」、2画面+タッチパネル+手書き入力の「D800iDS」など、数々の個性的な端末を世に送り出してきた。

 2007年のCEATECでは、メインディスプレイにタッチパネルを採用したスライドモデルの試作機を公開しているが、この試作機がもう、製品化されることがないのが残念だ。

“使うほどに便利さを実感できるスライドスタイル”を追求

 最近ではスライド型とストレートモデルを中心とした端末開発を行い、ハイエンドモデルでは、“スライドならでは”の使い勝手に磨きをかけてきた。初代FOMAのスライドモデル「D901i」では25ミリだった厚さも、最後のハイエンドモデルとなった「D905i」では18.2ミリまで薄くなり、「D902iS」からは大画面利用時の操作性を向上させる「スピードセレクター」(回転する十字キー)を搭載。機能面でもスライド連動機能の充実ぶりや、表に出ている大画面を生かした待受カスタマイズ、傾けると自動で横表示になるモーションコントロール、どんな機能を使っているときにもかけられるキーロックなど、他のスライドモデルを寄せつけない細かい作り込みが光っていた。


最後のハイエンドモデルとなってしまった「D905i」は、まさにスライドモデルの集大成ともいえる完成度

 さらにD905iではユーザーの要望に応えて、ポケベル入力や本体からの外部メモリフォルダの編集、アドレス帳検索のインクリメンタルサーチに対応するなど、使い勝手の面でも細かい改善を施している。

 このように“使うと分かる”機能の強化は充分だったものの、ユーザーを驚かせるギミックという点では、遅れをとってしまった印象も受ける。デュアルオープンスタイルやフルスライドなど、新たなフォームファクターの端末に注目が集まる中、CEATECで披露したタッチパネル対応のスライドモデルのような製品を早期に投入していたら……と思わずにはいられない。

 ここ6年ほど三菱端末を担当し、端末開発の取材を行ってきたが、いつも開発陣のモノづくりに対する熱い思いに心を動かされた。“D”端末の作り込みの細かさは、開発陣の情熱のたまものともいえるだろう。

 当初は使うのに抵抗があったスライドケータイに、すっかりはまってしまったのは“D”ケータイがあってこそだった。夏モデルの発表で新端末を見ることができないのが本当に寂しい。

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