Edy支払いのコンビニ収納代行をやめる理由――ビットワレット
“陸マイラーの定番技”となっているコンビニ収納代行のEdy支払いを、4月1日から中止するビットワレット。理由は2つある、と同社は説明する。
ビットワレットは4月1日より順次、コンビニエンスストアでの払込票(収納代行)を用いたEdyによる支払いを中止する。現在、Edyによる収納代行を扱っているコンビニは4チェーンあるが、ファミリーマートとam/pmでは4月1日から中止、サークルKサンクスとポプラは現在取り扱い中止日を調整中だ。
「コンビニはこんなものまで支払えて便利」から始まった収納代行
コンビニでの収納代行とは、税金や公共料金の支払いなどを、決まった口座からの引き落としではなく、コンビニの店頭で支払うことをいう。上記4チェーンでは現金のほか、Edyでも支払えるようになっていた。
「もともと、Edyを使ったコンビニ収納代行は、『(こんなものまで支払えるという)利便性を訴求したい』と考えるコンビニと、『Edyを決済手段として広めたい』と考えるビットワレットの狙いが一致したために始まったものでした。例えばam/pmでは『レジで払えるものは(何でも)Edyで払えます』という形で、さまざまな支払いがEdyでできることをアピールしていました」(ビットワレット)
しかし実際には、Edyによるコンビニ収納代行を好んで使ったのは、陸(おか)マイラーと呼ばれる、飛行機に乗らずに航空会社のマイレージを貯めている人(参照記事)が中心だった。クレジットカードからEdyにチャージをしてコンビニで支払いをすれば、Edyへチャージしたときにクレジットカードのポイントを獲得できる。つまり、本来クレジットカードでは支払えないはずのものが、Edyを間に挟むことでカード払いが可能になり、ポイントを獲得できるようになったからだ。しかしEdyを現金に代わる決済方法として広めたいと考えるビットワレットにとってみれば、これは意図せぬ利用法だったことだろう。
Edyで支払えるモノ、支払えないモノ
もう1つ、Edyに対応したコンビニが増えた結果、コンビニごとに“Edyで支払えるもの”についてのスタンスがバラバラになってきたという事情もある。Edyを導入しているコンビニでも、例えば宅配便の料金やたばこなどは、Edyで支払いできるチェーンとできないチェーンがある(参照リンク)。
「少し前まで、コンビニでは現金しか使えないのが普通だったのに対し、今では現金、FeliCa決済各種、クレジットカードなどさまざまな決済方法が選べるコンビニが増えました。(さらにEdyを導入するコンビニが増えた)結果、Edyやクレジットカードで何が支払えるかに対するポリシーがいろいろになってしまった」(ビットワレット)
収納代行の中止はビットワレットの判断
Edyを扱うコンビニが急増し、NTTドコモとauがおサイフケータイへのプリインストールをやめ、クレジットカードからEdyにチャージする際のポイント付与をやめるカード会社が増え――Edyを取り巻く環境は、この1~2年で激変している。
「今回コンビニ収納代行を中止するのは、ビットワレット側の判断です。コンビニでEdyがどのように使われているかを分析したところ、本来ビットワレットが意図していたのとは異なる使われ方が見られるようになってきた。また、Edy加盟店が大幅に増えてきたこともあって、今のタイミングで何らかの対応をしておかなくてはいけない、という判断によるものです」(ビットワレット)
Edyの“想定外の使い方”が看過できなくなりつつあること、そしてEdyが使えるコンビニが広まった結果、コンビニごとにスタンスがバラバラになったこと、この2つが、Edyによる収納代行中止の理由だといえそうだ。
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