2007年度携帯出荷、過去最高の5076万台──3強はシャープ、パナソニック、富士通
MM総研が2007年度の国内携帯電話出荷台数結果を発表。総出荷台数は前年度比2.9%増の5076万台。メーカーシェアはシャープ、パナソニック モバイル、富士通の順となった。
MM総研は4月23日、2007年度通期の国内携帯電話出荷台数の調査結果を発表。総出荷台数は前年度比2.9%増の5076万台となり、同社調査における最大とする2003年度の5009万台を抜き、過去最高値を記録した。
2007年度通期のメーカーシェアトップはシャープで、2005年度、2006年度に続き3年連続。2007年度はシャープ自身最高の1276万台(前年度比 23%増)を出荷し、前年度比4.1ポイント増のシェア25.1%を獲得した。2位は738万台(前年度比 31.6%増)を出荷したパナソニック モバイルコミュニケーションズで、前年度比3.1ポイント増のシェア14.5%。3位は592万台(前年度比 45.5%増)を出荷した富士通でシェア11.7%(前年度比 3.4ポイント増)。以下、4位東芝(シェア10.1%)、5位NEC(シェア9.1%)、6位ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(シェア6.3%)となった。
2007年度は携帯各社が導入した新販売方式が影響し、販売市場が縮小することも懸念されたが影響はなかった。ドコモは新販売方式が長期的に考えるとメリットだと判断されたことや商品力のある905iシリーズなどの投入、KDDIは従来の販売奨励金モデルに近いプランながら新機種もやや安価に販売したこと、ソフトバンクモバイルは、ホワイトプランや新スーパーボーナスを武器にした他キャリアからのユーザー獲得や、法人需要の含めた複数台利用のニーズをとらえたことで新規契約による販売が好調だったことなどが出荷台数増につながったとしている。
シャープは携帯・PHS全キャリア展開する製品力、ブランド力などが強み。AQUOSケータイやFULLFACEシリーズ、「インターネットマシン 922SH」などのハイエンド端末から、ドコモのSH70xiシリーズ、auの「W52SH」、ソフトバンクモバイルの「THE PREMIUM 821SH」などのミドル・ローエンド端末もまんべんなく投入し、利用キャリアや消費者属性に関係なく、幅広くユーザー層を獲得したことに成功していることが要因。
パナソニック モバイルは特に2007年下期が好調だった。ドコモ「P905i」のヒットを軸に、auとソフトバンクモバイルも含めたそれぞれの市場で存在感が上昇した。富士通は前年のシェア5位から3位に浮上。年間を通じて好調だった「らくらくホンシリーズ」やヒット端末「F904i」などの効果が大きく、年度出荷台数は富士通自身の過去最高を記録した。
一方、4位から6位のメーカーは出荷台数、シェアともにマイナスとなった。ただ、東芝は兄弟機の多品種展開、NECは「N905i」「N705i」のヒットで下期から2008年上期にかけて復調傾向にあるとする。7位以下はau専業メーカーや海外メーカーが含まれる。特にau専業メーカー(カシオ計算機、日立製作所、三洋電機など)の不調が目立ち、2006年度にauへ参入・再参入したシャープとパナソニック モバイルにシェアを奪われた格好になった。au専業メーカーの中では唯一、京セラが好調。薄型端末やシニア向け端末など使いやすさを重視した製品を投入し、出荷台数・シェアを伸ばした。海外メーカーではドコモ向けに端末を投入するLG電子の出荷台数が増加した。
2008年度はキャリア間の流入出減少、買い換え需要も減少
2008年度は前年度比9.2%減とする4610万台ほどになると予測。実質2年間の契約となる新販売方式による買い換えサイクルの長期化や、より本格的な端末価格の高騰が起こると想定され、キャリア間の流入出が減少するとともに買い換え需要も減少。キャリアの割引サービス実施や法人市場拡大などのプラス要因もあるが、全体としての減少は免れないと考えられる。
2007年度は、上位5社でシェア70.5%を占め、残りの約30%を海外メーカー含む10社以上で競う状況だった。2007年度で撤退した三菱電機や京セラへ携帯事業を譲渡した三洋電機なども関連し、メーカーの生き残りをかけた厳しい状況は今後も続くとみられている。
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