懐かしの一筆書き文字入力を再現――「Graffiti for Android」
往年の名機Palmの文字入力方式「Graffiti」を再現したAndroidアプリが静かに話題になっている。30代以上の読者は懐かしさを感じるのではないだろうか。
かつて、「Palm」「Visor」「WorkPad」「CLIE」といった名前のPDA(Personal Data Assistant)が人気を博していたことを覚えている読者はどれくらいいるだろうか。まだスマートフォンが一時代を築く前の、1996年から2005年ころまでの約10年間、Palm OSを搭載したデバイスは、そのシンプルなハードウェアの上に実現したシンプルなユーザーインタフェースと軽快な操作性、そしてユニークな文字入力方式などで日本市場でも一定の支持を獲得した。本家のPalmだけでなく、HandspringやIBM、ソニーなどが同OSを採用したデバイスを販売し、多彩な選択肢が用意されていた。
そのPalm OSが標準で採用していた文字入力方式が「Graffiti」だ。Palm OSは、タッチパネルディスプレイの下部に専用の文字入力エリアを持っており(一部の機種ではソフトウェアで表示していた)、左側に入力するとアルファベット、右側に入力すると数字として認識され、画面に表示される。入力する際の文字には“書き方”があり、独特の一筆書きの文字を入力することで、手書きの文字よりも高い精度でアルファベットや数字を認識する。
例えば「a」を入力する場合には、アルファベット入力エリアに左下から「Λ」と書く。「b」なら「β」、「c」は「c」といったように、あらかじめ決められた書き順で文字を入力するとどんどん認識されていく(正式な書き方以外に、いくつか異なる書き順がある字もある)。書き順を覚えなくてはいけないというハードルはあったものの、Graffitiを覚えればかなり高速なアルファベット入力が可能だったため、一部のユーザーから熱烈に支持された。
そのGraffitiを、現在権利を持つACCESSがAndroidアプリとして再現したのが「Graffiti for Android」だ。Androidマーケットからダウンロードできる。残念ながらIS01ではうまく動かなかったが、HT-03AやHTC Desireなどで動作するのを確認した。
能書きばかり並べても仕方ないので、ぜひダウンロードして使ってみてほしい。設定メニューから「地域/言語&文字入力」を開き、「Graffiti」にチェックを入れたら、文字入力時に適宜切り替えて利用できるようになる。当時Graffitiを覚えていた人は、しばし思い出に浸れるはずだ。
操作に困ったら、Graffitiエリアから上に向かってまっすぐ線を引けばヘルプが表示される(この部分もオリジナルに忠実だ)。ヘルプにはGraffitiの書き順がすべて記されているので、Graffitiを知らない人も、一世を風靡したPDAの雰囲気を味わうことができるだろう。
- →Androidマーケットで「Graffiti for Android」をダウンロードする(PCからはアクセスできません)。
関連キーワード
Android | ユーザーインタフェース | Palm | Androidケータイ | Garnet OS | Androidアプリ | 日本語入力 | PDA | スマートフォン | Android Market | HT-03A | IS01 | HTC Desire X06HT
関連記事
Androidでフリック入力
iPhoneからAndroidケータイに乗り換えた人はそういないと思うが、Androidケータイでフリック入力がしたい、という人は少なからずいるのではないだろうか。そんな人に便利なアプリを紹介しよう。続・Androidでフリック入力
先日「Simeji」を使ってAndroidでフリック入力ができることを紹介したが、Simejiのほかにもフリック入力対応のIMEがある。また、一部ユーザーから熱烈に支持されている「ベル打ち」ができるIMEも登場している。タッチパネル用の高速入力方式「Swype」 年内に日本語対応を予定
タッチパネル上のQWERTYキーを、入力したい単語のつづりで一筆書きの要領でなぞると素早く入力できる――。そんな技術「Swype」がDOCOMO Capitalからの出資を取り付け、日本語にも対応するという。本当になぞるだけでOK?――「Swype」で文字入力してみた
一筆書きのようになぞって文字を入力できる「Swype」が、Samsung電子の海外向けAndroid端末「Samsung GALAXY S」に採用されている。画期的な入力方式に思えるが、本当になぞるだけで正確に入力できるのだろうか。- ケータイ早打ちのギネス記録更新 タッチ携帯で
タッチケータイ用の高速入力システム「Swype」で、米国の男性が新たな世界記録を打ち立てた。 進化を続けるモバイル向けUIの最前線──シリコンバレーで見た未来(前編)
携帯電話が高度に進化し続ける中、近年はユーザーインタフェース(UI)に対する注目が高まっている。モバイル機器をより快適に扱えるUIとはどんなものなのか──。米国シリコンバレーで現在研究・開発が進められている技術を取材した。進化を続けるモバイル向けUIの最前線──シリコンバレーで見た未来(後編)
シリコンバレーで調査した、モバイル向けUIの最新トレンドは、さまざまな示唆に富むものだった。後編ではエイザ・ラスキン氏のUbiquityプロジェクトに見るActivity Based Computingの考え方を紹介。革新的UIの成否にかかわる要素も考察する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.