ドコモがソフトバンクの接続料で紛争処理申請――“適正な接続料”を試算(2/2 ページ)
ソフトバンクの接続料の妥当性を疑問視するドコモが、紛争処理委へのあっせん申請に踏み切った。総務省が策定したガイドラインに沿ったとするソフトバンクに、検証のための情報開示を求める。会見では独自に試算した“適正な接続料”も公開した。
ソフトバンクの“適正な接続料”を独自試算
ドコモの企画調整室長 古川浩司氏は会見で、公表されているデータなどを基に同社が独自に試算したソフトバンクの“適正な接続料”を紹介した。ソフトバンクの公表する音声伝送役務費用から、ドコモのデータに基づき相互接続料の原価を推定し、それをソフトバンクの総通話時間で割ると、1分あたり5.6円という接続料が導き出されるという。これはソフトバンクが提示した7.62円よりも安い。推計手法の妥当性を調べるため、同じようにKDDIの接続料を推計したところ、6.3円と実際の提示額である6.24円とほぼ同水準になったという。
古川氏は、ソフトバンクの7.62円という提示額がガイドラインに沿った上で成立するには、音声伝送役務費用に含まれる営業費が他社より極端に少ないか(ガイドラインでは営業費を原則除外した算出を求めている)、過大な利潤を設定しているかのどちらかだと主張。利潤を設定しているならば、「公正な接続、低廉な接続からかけ離れた状態になっていると言わざるを得ない」とした。
ソフトバンクはこれまで、ドコモやKDDIより接続料が高くなる理由として“利用周波数帯の違い”を挙げてきた。遠くまで電波が届くとされる800MHz帯の周波数帯域を持たないためにネットワーク構築コストが高くなり、それが接続料に反映されているという主張だ。一方、ドコモは「都市部では周波数帯にかかわらず基地局を密に打つ必要がある」「ルーラル(郊外)では800MHz帯が優位だが、1.2倍程度の優位性でしかない」と、意見が食い違っている。
これに関して古川氏は、技術的な背景以前に「数字のところできちっと勝負すべき」(古川氏)という考えを示した。2009年度の決算値をもとに、両社の固定資産額や施設にかかる費用(施設保全費、減価償却費、固定資産除却費)を比較すると、ソフトバンクの投資規模はドコモの約4分の1になる。「1ユーザーあたりで換算しても、(ドコモに対し)取得固定資産は0.65倍、正味固定資産は0.81倍、設備にかかる費用は0.65倍。にもかかわらず、接続料は1.46倍となっている」(古川氏)
ドコモでは、ソフトバンクが最低限の情報を開示し、妥当性が検証できれば接続料の格差を認める方針。これまで各社の主張が食い違ってきた接続料の問題だが、古川氏はガイドラインを活用することで「各社の自由裁量や価値判断を入れて算定する話ではなく、ひとえにガイドラインに従っているかが判断基準になる」と話した。
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