“電話機能のないiPhone 4S”を手に入れた――あるソフトバンクユーザーの10月14日
予約していた「iPhone 4S」を、発売日に受け取りにいくもトラブル続き。結局受け取るまでに7時間強、電話が使えるようになるまでまる1日かかった。そんな中、ショップスタッフの皆さんには本当に真摯に対応してもらった。あるユーザーの10月14日を振り返る。
予約日から発売までのやりとり
10月7日、「iPhone 4S」予約開始の日。15時半過ぎに自宅近く(東京都下)のソフトバンクショップに着いた。列の5番目ということで、予約開始時刻に数分遅れで予約手続きを開始した。契約してから2年が経過した「iPhone 3GS」からの機種変更で、スタッフが従来の契約内容を登録システムで確認しようとするが、予約殺到のためにシステムがダウン。このため当日は書面だけでの処理となった。出だしから不安が頭をよぎる。
しかし10月12日の20時前、予約した店舗のスタッフから電話がかかってきた。発売日の14日には何時ころに店舗に来られるか(開店は8時)との確認だったので、「9時半に行く」と伝える。このとき、「もしかしたら(予約時のように)システムがダウンしてしまうかもしれない。その場合には来店いただいてもお渡しできない可能性がある。もしそのような状況になったら朝電話する」と説明があった。
発売日を迎えて
そして迎えた10月14日の発売日。8時ごろ、TVのニュースでアップルストア銀座やソフトバンク表参道、auショップの行列を見る。8時の販売開始に合わせて、それぞれの店舗に人々が入っていくのを確認できた。
ところが。8時19分ごろに、予約しておいた店舗から電話がかかってきた。「登録システムがダウンしたので、当初予定していた9時半に来店いただいてもiPhone 4Sをお渡しできない。登録できるようになったら連絡する」とのこと。
そしておよそ2時間ほどが経過した10時18分、再び電話があった。ショップスタッフは電話口で「『本日はシステムの復旧は難しい』という連絡が入ったので、明日以降来店してほしい」という。気になったので「何人かには渡せたのですか?」と聞いてみたが、「まだ最初の人にも渡せていない」とのことだった。発売日に丸1日システムが復旧しないということに驚いたが、じゃあ明日は大丈夫なのかという疑問も浮かぶ。とはいえ自分で何かができる訳でもなく、別のことをして過ごすことにした。
先ほどの電話であきらめてPCの前から離れていたのだが、なんと12時25分ごろに、3度目の電話がきた。いわく「システムが復旧するのでこれからでも受け取りに来られるか」。了解し、13時半に受け取りに行くと伝える。Twitterを覗いてみたら、ソフトバンクの孫正義社長(@masason)が11時に「システムが全面復旧した」とツイートしており、それをRTした発言も多数流れていた。
予定の時刻を少し過ぎてしまったが、13時35分くらいにソフトバンクショップに着くと、まだ混乱は続いていた。カウンターの近くに「システム障害のため13時50分まで受付を停止しています」との張り紙があったので、とりあえず番号札をもらって店内で待つことに。13時55分くらいになってシステムが復旧した模様だ。その時点で自分の前には4人ほど先客がいた。
14時50分、ようやく順番が来てショップのカウンターに通された。ほどなく機種変更のための書類への記入や、各種プランの説明を受ける。この時点でスタッフの方が、「登録システムは動いているが、反応が遅くなっていて通常より時間がかかる」と教えてくださる。復旧はしたものの、平常時と同じように動いているわけではないようだ。着信履歴によると15時7分、店舗内で手続き中なのに、この店舗の別のスタッフから別のケータイの方に電話がかかってきた。こんなところからも混乱がうかがえる。
15時半過ぎになって、iPhone 4Sの料金プラン確認が終わり、システムに情報を登録するだけ、という状況になった。店舗を訪れてからすでに2時間近くが経過している。しかし「何度試してもシステムがエラーになる」という状態。スタッフさんから「このままここで待っていただいてもいいし、どこか別のところに行って時間をつぶすのであれば、登録でき次第電話します」と案内されたので、連絡をもらうことにして、近くのファストフード店に入店し、進展を待った。
30分ほど経過した16時過ぎから、何度かケータイに連絡が入っていたのだが、騒がしい場所にいたため気付かなかった。16時24分ぐらいに留守電を聞くと「伝えたいことがあるので折り返し連絡を」とのメッセージ。店舗のすぐ近くにいたので、直接ソフトバンクショップに戻った。
店舗に戻ったのは16時45分ごろ。応対してくれたスタッフの方によると「登録システムは復旧しなていないが本日の対応についての連絡が来た」という。iPhone 4Sの購入希望者に対して提示されたのは、以下の2つ条件。どちらかを選んでほしいとのこと。
- 明日(15日に)また店舗に来て、そこで登録の続きを行ってiPhone 4Sを受け取る。
- アクティベートしたiPhone 4S(ただし当然ながら電話は使えない)を今受け取る。登録システムは今日はもう動かないが、明日改めて動いたら登録作業を行う。登録が終わった時点で、iPhone 4Sの電話機能が使えるようになる(もとのiPhone 3GSの電話はその時点で使えなくなる)。
翌日また店舗に来たところで、登録システムが問題なく動くという保証はないので、その場でiPhone 4Sを受け取って帰り、電話として使えるようになるのを気長に待つことにした。もともとiPhone 3GSはauのフィーチャーフォンとの2台持ちで、iPhone 3GSではほとんど通話はしないし、自宅に戻ってWi-Fiで接続すればひとまず使えるのではないかと考えたからだ。
結局17時過ぎにSIMが入れられアクティベートされたiPhone 4Sを受け取った。通常はシステムへの登録後、SIMに電話番号を書き込む作業があるのだが、書き込まれていないため、システムに登録が済んで電話として使えるようになってもiPhoneの「電話」の項目に電話番号が表示されないという。使用する上で機能的には問題ないが、気になるなら後日店舗に来てもらえればそのときに書き込んでくれるとのことだった。
翌日の午後、晴れて機種変更が完了
ほぼ半日を費やし、18時ごろになんとかiPhone 4Sを手に自宅に戻ることができた。箱の中のiPhone 4Sを取り出すと、画面の左上にはまだ「圏外」の表示。仕方ないので自宅のWi-Fiの設定を済ませ、とりあえずiPod touch並みには使えるようにした。この状態ならSiriも試せる。iPhone 4SとiOS 5の新機能を一通り試してその日は終わった。結局、電話回線が開通したのは翌15日の午後だった。回線が切り替わったら、iPhone 3GSのアンテナ表示が圏外になると思っていたため、iPhone 4Sはバッテリーを節約するため機内モードで遊んでいて気付くのが遅くなったが、いつの間にかiPhone 3GSで通信ができなくなり、iPhone 4S側に回線が切り替わっていた。ほぼ1日かかってしまったが、こうしてなんとかiPhone 4Sへの乗り換えは完了した。
「iPhone 4」の予約受付を開始した2010年6月16日にも、こうしたシステムトラブルを経験したソフトバンクモバイル。当時も販売の現場は相当混乱していた。恐らく今回はそれをさらに上回る勢いで契約処理が行われたのだろうが、毎回このようなトラブルが起こるのでは、ユーザーとしてはたまったものではない。iPhoneが絶大な人気商品であることの裏返しではあるものの、しっかりした対策を取ってほしいと思う。
最後に、ソフトバンクショップのスタッフさんの対応について書いておきたい。彼・彼女らはシステムが通常通り動かず、またその状況も二転三転する中、筆者のような予約しているユーザーに細かく電話連絡を入れて、その都度丁寧に状況を説明し、真摯なお詫びの言葉を伝えてくれた。筆者が見た範囲で店頭は混み合っていたが、もめたりする人もいなかった。ひとえに現場のスタッフの力によるものだと思う。まだまだしばらくは忙しい時期が続くはずだが、「14日は本当にお疲れさまでした」と感謝の意を表したい。
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