auの「iPhone 4S」発売で昨年以上に“スマホな一年”に――緊急地震速報への注目も:ITmediaスタッフが選ぶ、2011年の“注目ケータイ&トピック”(ライター青山編)
昨年以上にスマートフォンのラインアップが拡大した2011年。なかでも、iPhone 4Sがauから発売されたことで、ユーザーの裾野がさらに広がった印象だ。また東日本大震災の経験から、緊急地震速報への注目も高まった一年だった。
2010年の暮れに自分が担当した“注目ケータイ&トピック”を読み返し、「スマートフォンに始まり、スマートフォンに終わったといえる今年」と書いていたことに気が付いた。
が、今振り返ると2011年こそ“スマホな一年”だったといってもいいだろう。今年発表された各社の夏モデル、冬春モデルはいうまでもなくスマホ一色に染まり、「iPhone 4S」の登場とauからのリリースがその勢いに輪をかけたのではないだろうか。
まずはなんといってもiPhone 4S
その意味でもまずはiPhone 4Sを挙げないわけにはいかないだろう。これだけAndroid端末が増えている中でも、「iPhone」は今なお日本のスマートフォンブームをけん引するリーダー的存在であることは間違いない。
その最新作であるiPhone 4Sの具体的な機能や使い勝手は、これまでにもさんざん報道されているから割愛する。しかし、さまざまなAndroid端末が登場しても、私の周りでは“カッコいいのはiPhone”“iPhoneは使いやすい”と多くの人がよく口にしており、やっぱりiPhoneは優れたスマートフォンだといっていいのだろう。
国内のiPhoneはこれまで、ソフトバンクモバイルの看板端末だった。それが今年は、auでも販売されるようになり、同じiPhoneでもキャリアの選択肢が増えたということは画期的な出来事だった。4Sの発売前から『ソフトバンクのユーザーが大勢auに乗り換えるのではないか』という声が報道やネットのあちらこちらでやかましく聞かれたのは懐かしい。
結局、ソフトバンクの乗り換えキャンペーンもあってか、劇的な変化はなかったようだが、とにもかくにもiPhone 4Sの発売をきっかけに、初めてiPhoneを使い始めたというユーザーも多かったことだろう。専門サイトなどではAndroidの端末の中でも、あれがいい、これがいいという記事も多いが、これからスマートフォンというユーザーにとっては、“iPhoneとその他のスマートフォン”という構図がしばらくは変わらないのかもしれない。
11年目のG'zOneはスマートフォン
二つ目は、個人的な趣味丸出しの話題となるが、何といっても「G'zOne」がスマートフォンとして登場したことだ。「G'zOne IS11CA」は、auの“タフネスケータイ”ことG'zOneシリーズの最新作。2010年秋モデルとして登場した「G'zOne TYPE-X」が、G'zOneシリーズ10周年の集大成のモデルとして登場しただけに、次はどうなる、というのはG'zOneファンの間で大きな関心事だった。世間はスマートフォンが盛り上がりつつある中で、2011年を迎えてもフィーチャーフォンを使うしかなかったG'zOneファンは、スマートフォン版の“G'z”を待ち望んでいたのである。
また、G'zOne IS11CAの登場は、大きさやフォルムが似通ってしまっているスマートフォンのデザインに食傷気味のユーザーにとっても、個性的なデザインのスマートフォンとして受け入れられたようだ。最近はもはや“ネタ切れ”じゃないか、と思うくらい差別化しにくくなっているケータイのデザインだったが、スマートフォンのラインアップが充実するにつれ、さらにプロダクトデザインとしての個性を見つけられにくくなっていると多くの人が感じているハズ。ほぼ長方形のケースにディスプレイがその顔となる正面の大部分を占めるというスタイルは、どうしてもモノとしての個性が見えにくい。
そんな中でG'zOne IS11CAは、耐衝撃性能を与えるために額縁を太くとったフォルムに、大きなバンパーとフロントスピーカーといったディテールを持ち、一目で“G'zOneのスマートフォン”であることを訴えるデザインとなっている。機能やスペックが話題となるスマートフォンだが、個性的なデザインという点では、iidaの「INFOBAR A01」と並ぶエポックなモデルだったのではないだろうか。
緊急地震速報が注目を浴びた一年
すべての日本人にとって、2011年3月11日の東日本大震災は忘れられない記憶となった。震災当日から直後にかけて、携帯電話網だけでなく固定網も輻輳を起こし、電話がかかりにくくなっただけでなく、今回の震災では被災地の携帯電話基地局そのものが被災したり、停電や電力不足でネットワークの維持そのものが危ぶまれたりすることもあった。
それだけに、改めていつでもどこでも人とコミュニケーションが取れること、そのコミュニケーションを通じての絆を確認できる道具としての携帯電話というものを再認識したことだろう。震災直後からいち早く臨時基地局の設置や、基地局復旧に尽力し、その後、こうした大災害に対する備えを強化したケータイ各社には、感謝と賛辞を贈りたい。
そして、こうした大地震をいち早く知らせてくれる最も身近な道具としてのケータイを実感したのが「緊急地震速報」だろう。3月11日の東日本大震災以降、強い余震が発生するたびに、ケータイが独特の音を立てて緊急地震速報を鳴動し、大勢の人が集まるところでは、そのあちらこちらからこのサイレンにも似た音が聞こえるというシーンがしばらくは日常となった。緊急地震速報は、当初からケータイでも対応機種が出始めていたが、どちらかというとテレビ、ラジオの方が放送局側だけの対応でよかったため、多くの人に一度に広く知らせる、という役割ではケータイよりテレビ、ラジオが担う役割が大きかったようだ。ただ、テレビ・ラジオはそれぞれの番組を視聴していないと、緊急地震速報に触れることができない。一方、ケータイであれば普段身につけていて、いつも待受け状態にあるだけに、いち早く速報を受け取ることができる。街を歩くほとんどの人がケータイを持っていると言ってもいい状態になっている今だからこそ、このケータイの緊急地震速報は本当の意味で役に立つ機能になっていると言っていいだろう。
震災後に開かれた各社の新製品発表会では、「緊急地震速報に対応」という言葉が何度も聞かれ、現在発売されている機種にはほとんど標準でこの機能が搭載されているし、未対応のモデルでもアプリやソフトのアップデートで対応できるようになっている機種が多い。今や数えきれないくらいの機能を満載したケータイ。それだけに、こうした地味な機能というのはその存在を忘れられがちだが、今年ほど緊急地震速報という機能にユーザーの耳目が集まった年はないだろう。
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