世界初の「PHS対応Androidスマートフォン」 開発の舞台裏を京セラに聞く:開発陣に聞く「DIGNO DUAL WX04K」(2/2 ページ)
ウィルコムから発売された京セラ製の「DIGNO DUAL WX04K」は、世界で初めてPHS通話に対応したAndroidスマートフォンだ。今、なぜPHSなのか、そして開発にはどんな苦労があったのか。京セラに聞いた。
とがった端末だけど デザインは普段使いを意識
あまたあるAndroidスマートフォンの中で、PHS通話が可能という、他にはないユニークさを持つDIGNO DUAL。そのデザインはどのようなテーマ・コンセプトで作られたのだろうか。
デザインを担当した熊谷氏は、「企画的には一見とがったように見える製品ですが、『だれ定』など普段使いにメリットがあるモデルです。特にビジネスシーンでの利用も想定していますので、デザインは、オーソドックスな作りにしています」と話す。
前述の通りDIGNO DUALにはPHSのチップとアンテナを追加しているため、ボディの大型化が懸念された。また川居氏が先に触れたように、スマホの裏にPHSが付いているようなボディではデザイン性も損なわれ、普段使いという面でも影響が出てしまう。
「どうしても部品点数が増えている端末ですので、大きく、四角くならないよう工夫しました。手に触れる部分については、できる限り丸みを持たせるなど工夫をすることでコンパクトに見えるようにしています。スタンダードであってもデザイン上での差別化を図りたいと考え、前面キーの下のパネルの部分を工夫しました。ホワイトとブラックには高級感を出すためにスピン加工の模様を入れており、光の当たり具合によって輝きが変わります。またピンクとグリーンは若年層などがカジュアルに使うシーンを意識して、蛍光色のカラーを選びました」(熊谷氏)
特徴的な本体カラーのグリーンは、PHSと3Gの2つの通信方式という他にはない特徴を持つDIGNO DUALだけに、他にはない特徴的なカラーとして選ばれたという。スタンダードなカラーは従来のウィルコム端末から機種変更する場合の受け皿としても必要だが、新しいユーザーを獲得するためには強い個性を持ったカラーも必要だったと、熊谷氏は説明する。
また使い勝手という面では、ホーム/戻る/メニュー/検索キーを物理キーで搭載した。これは「さまざまなユーザーに向けた端末ですので、物理キーによる安心感を求めました」(熊谷氏)とのことで、ここでも普段使い、ビジネスシーンでの使い勝手を重視する姿勢が現れているといえるだろう。
国産スマホとしてもきっちり使える
DIGNO DUALが想定しているターゲット像は、主にスマートフォンと通話端末を1本化したいというユーザーだ。スマホを持ちながら、通話のしやすさや通話用の定額プランなどを理由にPHSやフィーチャーフォンも持っている人たちである。
そうしたユーザーに受け入れられるよう、DIGNO DUALはスマホとしてはミドルクラスのスペックや機能を備えた。防水ボディやワンセグ、デュアルコアプロセッサの採用に加え、3G通信では下り最大21Mbpsの高速データ通信サービスULTRA SPEEDに対応した。カメラは500万画素CMOSだが、女性層を意識してかインカメラ(30万画素CMOS)も備えている。スマートフォンとしてもトレンドに沿ったスペックを備えており、ウィルコム端末としてはかなりハイエンドな端末だ。
「もちろん、ウィルコムのPHSユーザーからの機種変更も想定していますが、だからといってスマートフォン初心者を強く意識したわけではありません。すでにスマホを利用したことのある人向けにも、できるだけスタンダードなスマートフォンとして提供したいと考えました。だからといって、まったくの素のAndroidでは物足りなさもありますので、防水やワンセグなど、普段使いでもメリットがある付加価値は盛り込んでいます」(川居氏)
これまで、だれとでも定額というウィルコムの強力なサービスを使うには、同社の音声端末を使うしかなかった。それはスマートフォンとの2台持ちという新たな利用スタイルを誕生させたが、同時に“スマホでもだれ定額を使いたい”というニーズも生み出した。スマートフォンといえども携帯電話。むしろスマホだからこそ、相手を選ばずに思い切り通話をしたいという人に、DIGNO DUALはまたとない製品と言えるだろう。
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