もう一度Wi-Fiに振り向いてほしい――「au Wi-Fi SPOT」の環境改善を進めるKDDI(2/2 ページ)
KDDIは、LTEネットワークの構築や3Gエリアの改善だけでなく、au Wi-Fi SPOTの環境改善も積極的に進めている。以前Wi-Fiに愛想を尽かしてしまったユーザーも、改めてau Wi-Fi SPOTを利用してみてほしいという。その狙いを聞いた。
接続方法と接続時間を改善し、Wi-Fiをより使いやすく
バッテリーの消費を抑え、ちゃんと通信できるWi-Fiアクセスポイントを見つけたら適宜接続する。こうした利用環境の改善を進める中でKDDIは、3GからWi-Fi、あるいはWi-Fiから3Gへの切り替え時に発生する待ち時間も短縮した。Wi-Fiアクセスポイント接続時の処理を最適化することで、接続までの待ち時間を従来の約半分に短縮している。2012年夏モデルだけでなく、ソフトウェアアップデートにより以前の機種にも適用した。
また11月2日に発売した4G LTE対応の2012年冬モデルでは、au Wi-Fi SPOTでEAP認証による高速接続を可能にした。au Wi-Fi SPOTのEAP認証は、UIMカードの情報を元にユーザーを認証する。そのため、従来はWi-Fi接続が確立した後に行っていたユーザー認証が不要で、Wi-Fiのピクトが点灯した時点ですでにログイン処理が終わり通信が可能になっている。これまで、Wi-Fiに接続してから10秒程度かかっていたログイン処理が必要なくなるため、4~5秒程度でWi-Fi接続とログインが完了する。EAP認証は、端末側の対応も必要なため、残念ながら既存の端末では利用できないが、今後発売するAndroidスマートフォンはすべて対応していく。
EAP認証を利用するメリットは2つあると上田氏は言う。1つは接続自体がこれまでよりも速くなること。そしてもう1つはセキュリティがより強固になることだ。
「これまでは、Wi-Fiのピクトが点灯してからユーザー認証をしていたため、どうしても“使えるようになっているはずなのに待たされる”という印象を抱かれがちでした。EAP認証を導入するとアプリなしでも使えますし、Wi-Fiのピクトが点灯した時点でもう通信が可能ですから、体感の速度はもっと速いと思います」(上田氏)
EAP認証では、前述のとおりUIMカードの情報で認証するため初期設定も必要ない(非対応のアクセスポイントにも接続するための初期設定は必要)。接続する都度認証鍵を変更するため、固定のキーを利用するWPA2よりさらにセキュリティが強固になり、盗聴リスクが極めて低いという。
EAP認証に対応しているのは、「au_Wi-Fi2」というSSIDのアクセスポイントで、上田氏によると「現在20万あるアクセスポイントのうち半数以上が対応しています」とのこと。EAP認証未対応のスポットでは、これまでどおりの手順で認証する。既存のアクセスポイントのうち、EAP認証に対応していないものは、新しいものに置き換えるか、ファームウェアのアップデートなどで順次EAP認証対応のものに切り替える。
「iPhoneでの対応についてはAppleとの交渉になりますが、11月2日に発売される新しいAndroidスマートフォンは全機種対応しています。Wi-Fi環境がかなり快適になりますので、ぜひ使ってみていただきたいですね」(青山氏)
改めてWi-Fiを見直すきっかけに
かつてWi-Fiをオンにしていたのに、つながってもうまく通信できなかったり、スピードが遅かったりしてWi-Fiを使うのをやめてしまった――。そんな人たちに、「もう一度Wi-Fiを使っていただきたい」と大内氏は言う。
「なかなかつながらない状態を経験されたりして、Wi-Fiを嫌いになってしまった人もいらっしゃるのではないかと思っています。ですが、これまでいろいろな対策を行って、環境を改善してきました。誤解をされたままの方がいらしたら、その誤解をぜひ解かせていただきたい。体感上の使い勝手は向上しているはずなので、改めてWi-Fiを見直していただけたらと思います」(大内氏)
まだ改善すべきポイントは残っているものの、順次利用環境を整えているau Wi-Fi SPOT。もしWi-Fiをオフにしたままスマートフォンを使っているなら、しばらくオンにして使ってみてはいかがだろうか。KDDIがこれまで行ってきた改善が体験できるかもしれない。
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