FacebookとWindows Phoneの微妙な距離感:ななふぉ ITmedia支店(2/2 ページ)
Windows Phoneの主要なコンセプトの1つが「人を中心にする」だ。2010年にMicrosoftが掲げたこの概念を、Facebookが「Facebook Home」で打ち出してきた。
Windows Phone用Facebookアプリは大幅刷新へ
しかし、この一件によってFacebookとMicrosoftの関係が悪化したかといえば、そう単純な話でもない。Facebookは、Googleを牽制するという目的があるからか、以前からMicrosoftと提携しており、FacebookのWebサイトでもBingの技術を利用している。
4月30日にはWindows Phone 8用の新しいFacebookアプリ「Facebook Beta」を公開している。現時点ではβ版で、現行のアプリと並行して提供している。今後はWindows Phone 7.x向けにも提供する予定で、将来は公式アプリとして置き換えるようになるとみられている。
Facebook Betaでは、基本的な画面構成をiOS版やAndroid版と統一した。これまでのWindows Phoneアプリで多用してきた「パノラマ」や「ピボット」といった横スクロールを廃止し、iOSやAndroidによくあるサイドバーによるナビゲーションを採用したことは、関係者も注目している。
Windows Phone 8というOS自体にも、Facebook Homeと似た機能を用意している。Windows Phone 8のロック画面壁紙にFacebookの写真を表示する機能がそれだ。表示するアルバムや形式は、Facebookアプリの設定画面から選択できる。
これはFacebook Homeほど高機能なものではなく、あくまで一定時間ごとにFacebookにアップロードしてある写真を表示する機能だ。写真を任意のタイミングで切り替えたい場合やコメントを参照したい場合は、ロックを解除してアプリを使う必要がある。
Windows PhoneでFacebook Homeは実現するのか
このように、Windows Phone 8は「簡易Facebook Home」に相当する機能を用意している。それでは、“真の”Facebook HomeアプリはWindows Phone上で実現できるのだろうか。ブルームバーグは、Facebook製品ディレクターのアダム・モセリ氏のコメントとして、Android向けFacebook Homeの発表後にAppleやMicrosoftとの間でも交渉を進めていると報じている。その後、こういった交渉の存在を否定する報道もあるが、何らかの形でFacebook Homeに相当する機能がWindows Phoneで実現する可能性はある。
ただ、そのためには解決すべき課題もある。Windows Phone 8ではホーム画面のカスタマイズに限界があり、少なくともホームアプリで乗っ取ることは不可能だ。最新のFacebook Betaも、できることは、一般的なWindows Phoneアプリに許された枠内におさまっており、サードパーティアプリの1つに過ぎない。
また、Facebook Homeをインストールすると、Androidの多くの画面からFacebookチャットが可能になる「チャットヘッド」機能が有効になる。このように、OS全体にまたがる機能も、Windows Phoneでは実現できない。
このようにWindows Phoneでは、Microsoftが提供するOS標準のFacebook連携機能はあるものの、Androidほど強力なカスタマイズはできないのが現状だ。逆に、Androidでは、Facebookが好きなユーザーが、徹底的に「Facebookスペシャル」の端末を作り込める、カスタマイズ性を提供している。
今後はFacebookを追って、さまざまなWebサービスがホーム画面の獲得競争を繰り広げる可能性もある。「人を中心にする」コンセプトでは先行していたWindows Phoneが、このトレンドにどのような形で対応していくのか、まずは、“Blue”プロジェクトによるアップデートに期待したいところだ。
著者プロフィール:山口健太
Windows Phoneに関するニュースやアプリ、開発者向け情報を扱うブログ「ななふぉ」管理人。Tipsやハックに加え、Marketplaceの分析や海外取材も好評を得ている。Twitterは@tezawaly。ななふぉのFacebookページも公開中。趣味は自転車旅行。
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