Qualcomm、Snapdragon 800で向上した性能をアピール:Snapdragon 800 Workshop in 北京(2/2 ページ)
Snapdragon 800シリーズの性能を実際に体感するQualcommのワークショップ。訴求するのは格段に向上した“グラフィックス性能”と“LTE Advanced”だ。
LTEモデムは“Advanced”対応で省電力省スペース
中国Qualcomm プロダクトマーケティング スタッフマネージャーのレオ・シェン氏は、Snapdragon 800シリーズが統合するLTEモデムについて紹介した。
シェン氏は、Qualcommの優位性として、世界各国で採用する通信方式、周波数帯、通信規格のほとんどに対応していることを挙げる。LTEモデムでは、登場当初はLTEのデータ通信にのみ対応していたが、LTEのデータ通信に加えて2Gと3Gの音声データに対応、さらに今後は、LTEでVoIPを利用するデバイスが主流になるという。
現在、世界各国でLTE VoIPの運用を開始、または、検討段階にあるが、そこで利用している通信方式は、LTE Voice Modesで17形式も存在し、利用する周波数バンドも40帯域に及ぶ。シェン氏は、Qualcommは、Cellular Standardsの7方式に加えて、LTE Voice Modesのすべてに対応できることを優位点として訴求する。
さらに、Qualcommでは、2012年にLTEモデルをSnapdragonに統合した“第2世代”LTEソリューションを投入したが、2013年には、LTE Advancedに対応した“第3世代”LTEソリューションをSnapdragon 800シリーズに統合した。
その第3世代LTEモデムとなるGobi MDM9x25シリーズの1つ、MDM 9215では“競合”のモデムチップと比べてハンドオーバーに失敗する確率が10パーセント改善したほか、転送レートが、LTEデータ通信で54パーセント、3GのMSDPAで51パーセント向上している。また、消費電力も競合製品と比べて、LTE接続時でアイドル状態の消費電力は215パーセント、データ通信時でも75パーセント、また、HSDPA接続データ通信時でも90パーセント以上改善した。
ダイ面積は、同じ帯域をサポートするコントローラと比較すると、競合チップはMDM9215の2.5倍のフットプリントになる。また、競合チップを実装したドングルの温度は、オープンケースの場合MDM 9215を実装したドングルより21.6度高くなり、冷却効果が高いクローズケースの場合でも17.4度高くなったことを、サーモグラフィを使った測定結果とともに示した。
mini ITXなDragon Boardなど開発サポートも充実
スマートフォンユーザーには直接関係しないが、Qualcommは、「Dragon Board」という開発者向けのキットも用意している。Snapdragonを実装したシステムボード(System On Module:SOMと呼ぶ)は専用のコネクタに装着する形で差し替えが自由になっており、mini ITXフォームファクタに準拠したサブボード(Carrire Board。フットプリントはCarrireが大きい)には、周辺機器や外部デバイスとのインタフェースを用意して、ディスプレイや各種センサーを接続してスマートフォンを想定した開発環境を用意できる。OSも事前にAndroidを導入してある。
Snapdragon 800シリーズを実装したSOMと、そのSOMを装着したDragon Boardは間もなく出荷する予定だ。プロセッサーはモデム機能を統合していないAPQ8074で、2GバイトのLODDR3メモリと16GバイトのeMMCを実装する。無線接続は2.4GHzと5GHzに対応する無線LANアンテナ、Bluetooth 4.1、GPS、NFCを利用できるほかに、拡張センサーを実装するピンヘッダ、ハードウェアキーやLDEインジケータも用意する。バックパネルには、2基のUSB 3.0と2基のUSB 2.0、ギガビット対応有線LAN、シリアル、HDMIにDisplayPort、micro USBなどを備える。
ワークショップ会場では、3G描画能力などを訴求するゲームデモや4Kクラスの動画コンテンツの再生と撮影を実際に行うブースを設けて、Sanpdragon 800シリーズで大幅に向上した処理性能を紹介していた。
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