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京セラコンセプトモデルに見る「曲がるディスプレイの価値」Mobile World Congress 2014(1/2 ページ)

個性的なデバイスをアピールする京セラは、2~3年後の登場を想定したスマートフォンとウェアラブルデバイスのコンセプトモデルをMWC2014のブースで公開していた。

ニッチなモデルは日本市場に投入できるのか

京セラのラインアップ展開に関する考えとコンセプトモデルの意図を説明してくれた、京セラ 通信機器関連事業本部 マーケティング部長 能原隆氏

 Mobie World Congress 2014では日本メーカーも依然として大きなブースを設けて、欧州の関係者にその存在感をアピールしているが、スマートフォンといったデバイスそのものよりも、開発中のネットワークインフラ技術やマンマシンインタフェースの新しい取り組みなどの遡及がメインだった。

 そのなかで、ソニーモバイルコミュニケーションズとともに、スマートフォンなどの“端末”を主役にしたブースを用意した日本メーカーが京セラだ。米国市場で防水防塵、そして、耐衝撃性能を有するスマートフォンブランドとして認知度を上げている「Torque」を日本でも2013年末から展開しているが、2014年は欧州でも展開すべく、その訴求に力を入れている。京セラは、現在「防水防塵」「耐衝撃性能」を持つスマートフォンを中心としたラインアップを米国で展開しており、プリペイド向けモデルとして採用するMVNOが増えている。

 Torque以外にもHydroブランドを用意しており、こちらは、モデルによって防水性能、防塵性能、そして、耐衝撃性能を組み合わせて、または、単独で実装することで、通常のスマートフォンと同様の本体サイズとデザインを実現しながら、フィールワークやデューディーな環境でも使えるモデルとしている。

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 京セラは、米国市場で防水防塵耐衝撃のモデルをフィーチャーフォンの時代から展開しており、2013年にはユーザーから希望があったスマートフォンで同じタイプのモデルとしてTorqueを投入した。Torqueでは日本でも問い合わせが多く、日本市場では京セラのブランドで投入することになっている。ただし、まずは法人向けとして展開する予定だ(京セラとしては法人や個人向けと分けて考えていないと述べているが)。

 米国の場合、ユーザーの希望が幅広く、そのなかでも、Torqueの需要が多いプリペイド事業者と契約するユーザーは、“壊れにくい”という日常の利用における価値を認める場合が多い。そのようなユーザーは、アップルやサムスンといったメーカーブランドは関係ない。また、米国は文化的に大柄な“ごつい”デザインが好まれる。このような理由もあって、Torqueは米国市場で成功したが、一方で、ハイエンドモデルに選択が集中する日本のコンシューマー市場で投入するのはハードルが高い。

 北米市場でToruqeシリーズのような防水防塵耐衝撃性能モデルが受け入れられる一方で、日本では(一部の熱烈な支持があっても)生き残ることができない状況について京セラは、Torqeのようなモデルは、全世界で一部の強い需要はあるがそれが大多数ではなく、ビジネスとして成り立つには、北米、欧州、日本のそれぞれに用意するのではなく、全世界共通モデルとして展開するしかない、と述べる。そして、日本でスマートフォンを投入するには、おサイフケータイやワンセグなど、日本特有の機能を実装しなければならなず、そういう意味で、日本市場は特殊な状況になっていると説明する。「日本のユーザーに対しては、フィーチャーフォンで進化して使えるようになった機能がスマートフォンに変えることで使えなくなることがあってはならない」(京セラ 通信機器関連事業本部 マーケティング部長 能原隆氏)

 このような、出荷数を確保できる大多数のユーザーが満足できるモデルしか投入できず、幅広い、しかし、数が少ないユーザーの要求に応えることができないところに、現在のスマートフォン市場が閉塞している理由の1つがある。しかし、この点について、京セラは、以前から海外展開モデルを日本市場で紹介しており、今後もこの活動を継続していくほか、スマートフォンの時代になって規格がオープンになっているので、海外向けモデルの日本市場投入はフィーチャーフォンの時代と比べると容易になっているという考えも示している。

米国で展開しているデザインと防水、または防塵、もしくは耐衝撃性能を両立したHydroシリーズ
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