ドコモ新料金プランの不満・疑問を開発担当者にぶつけてきた――「家族長期利用者を囲い込むのが狙い。単身者の不満は想定済み」:石川温のスマホ業界新聞(2/2 ページ)
ドコモの新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」に関するそっちょくな不満や疑問を同社の開発担当者にぶつけてみた。
―― 単身者のユーザーからすると、あまり魅力的には感じないようだが。
吉田氏 そういう反応が出るというのはも織り込み済み。今回は長く、家族で使っている人向けなので、その反対であるひとりで短い人を満足させるのは難しいし、それは承知の上でもある。
ただ、それで終わりではなく、2台目をどうですかという提案につなげていきたい。タブレットやFOMAも対象としており、この組み合わせが最強のような気がしている。
iモード一台だと高くなるが、タブレットを併用する使い方を提案していく。
―― 3台以上持っている単身者はどうすればいいのか。
吉田氏 2台目プラスでは対応できないが、シェアプランに入ってもらえれば問題ない。3台目も必要という声が多ければ、考えますよ。
―― 今回の新料金プランで他社に流出したユーザーは戻ってきそうか。
吉田氏 期待はしている。ただ、他社も追随してくると予想している。社長は言い方が違うかも知れないが。これが魅力的であり、ユーザーがドコモに移行するのであれば、他社は同じにように追随するか、もしくは突っ込んだプランを出してくるのではないか。
―― なぜ、この4月のタイミングに発表したのか。
吉田氏 いろいろ考えてのこと、ということですよね。もろもろ考えています。
―― 発表して『してやったり』という感じか。
吉田氏 そういうことはないですが。ユーザーに大きなインパクトを与えたかったというのはあった。
―― 昨年末以降、楽天でんわやLINE電話が登場しているが、こうした新興勢力を意識しているのか。
吉田氏 そういうのがあるのは把握しているが、決してそれらが入ったから検討したというわけではない。音声の定額制は珍しいものではなく、昔から検討していた。
―― いま、ドコモのARPUは1300円台となっている。このプランを契約してもらうことで、倍近い収入増になるとみていいのか。
吉田氏 そうはならない。今回、FOMAは従来のプランを残し続けている。Xiは8月末で停止するが、FOMAは残し続ける。通話もメールもパケットもしないひとが結構いるので、料金的にはFOMA向けプランを辞めるつもりはない。
―― 25歳以下の割引を設けた理由は。
吉田氏 学割は春の風物詩となり、ユーザーに知れ渡り成果があった。学割として3年間で終わるのではなく、もっと続けて欲しいという声があった。
学割は学生しか対象ではないが、高校を終えて働いている人もいる。最近は高校を卒業して働いている人よりも、大学生のほうがお金を持っていることもある。学割について、今一度、考え直した。若者を応援していく発想になった。
―― 来年以降、学割のキャンペーンはないのか。他社が基本料金無料を提案してきても対抗しないのか。
吉田氏 決まってはない。コメントしづらいが、基本料無料というのはないと思う。
―― 月々サポートはどうなるのか。
吉田氏 その体系はかわらない。金額は端末の種類や販売時期によっては変わっていくが、体系として月々サポートは残る。キャッシュバック合戦は沈静化していくのではないか。社長も言っているが、新規ユーザーをキャッシュバックで取り合うよりも、長く使っているユーザーを大事にしたいのは間違いない。
―― シェアオプションとして、500円が必要なのはなぜなのか。
吉田氏 金額を考えたときに、オプションがないほうがシンプルだが、オプションがないとなると、この基本プランの金額を実現できなくなる。こういう組み合わせなら、金額的に納得いただけるのではないか。
―― 遠くに住んでいる家族も、従来通りに家族として扱えるものなのか。
吉田氏 遠くに住んでても問題ない。請求書を分けて送ることもできる。
パケットはお父さんのところに請求が行く。
子どもが大学を出て、社会人になっても、親のすねをかじったまま、基本パック、ISP、シェアプランのオプションだけを払うということもできる。
―― 最後に何かあれば。
吉田氏 今回はひとつの区切りといえる。音声定額を6月1日から始めるが、実はパケット定額を始めたのは2004年6月1日であり、ちょうど10年の節目になる。
パケット定額導入から10年が経過し、次は音声定額制に踏み切る。まさに我々としては新たなステージに行く気がしている。
取材を終えて
料金の取材は、本来ならばあまり聞くことがなく、退屈な取材になりがちなのだが、今回は、ドコモとしての戦略、考え方がいろいろと聞けて楽しかった。また、取材対応者もドコモっぽくない人だったこともあり、かなり本音で話してくれたというのも良かったかも知れない。
次は、他社が対抗してきたときにどのように動くのかが興味深いところ。プライスリーダーとして珍しくドコモが有利な立場にいるので、いまは手ぐすね引いて他社の対抗策を待っているのではないだろうか。
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