CA対応で国内最速の「303ZT」/選択肢広がる旅行者向けネット環境/SIMフリー「iPhone 6」は最強のルーター?:ルータープリンスの「5分で知る最近のモバイル通信&ルータ事情」(2/2 ページ)
CA対応によってスペック上は“国内最速”となるモバイルルーターがソフトバンクから登場。MVNOではぷららから容量無制限プランが発表されたほか、訪日外国人向けのプリペイドSIMも拡充された。そしてiPhone 6は最強のルーターとしても使えるかもしれない。
Huawei、LTE対応のSIMフリーモバイルWi-Fiルーター「E5377」を国内投入
Huaweiは、モバイルWi-Fiルーター「E5377」のSIMロックフリーモデルを国内向けに販売すると発表した。価格は約1万8000円前後で、家電量販店などで販売される。同社のモバイルWi-FiルーターがSIMフリーで国内投入されるのはこれが初となる。
E5377はSIMフリー仕様となっているものの、対応するLTEの周波数は2100MHz帯、1800MHz帯、850MHz帯の3つとなっており、例えばドコモで考えた場合は下り最大112.5Mbpsに対応する1500MHz帯のほか、800MHz帯のLTEにも非対応となっており、通信速度やエリアの面ではやや物足りなく感じるかもしれない。
ただし、SIMフリーで利用可能なモバイルWi-Fiルーターがメーカーから公式に国内販売される例は少なく、国内キャリア向けにルーターを供給している会社がSIMフリーモデルを提供するのは初の事例。国内外で使えるSIMフリー端末を国内で購入したい、という方には安心して購入できる端末と言える。
MR03LN向けファームウェアが再公開――「SIMフリー」とは言い難い仕様
SIMフリーのモバイルWi-Fiルーター関連では、前回の連載でご紹介した「Aterm MR03LN」(NECプラットフォームズ)のファームウェアアップデート配信が再開された。最新版となるファームウェアバージョン2.1.0では、公開中止となった2.0.0で追加予定となっていた「EMOBILE LTEへの対応」が行われた。
ファームウェアアップデート後のMR03LNを海外で利用する機会があったので試してみたところ、海外キャリアのSIMカードでも通信が可能になっていることが確認できた。
ただ周波数的に一部対応しているはずのKDDIのSIMカードを挿しても通信ができず、MR03LNは純粋な「SIMフリー」モデルとは言い難い仕様になっている。
筆者はアップデート前に詳細な動作確認を行うことができなかったが、MR03LNでは2.1.0にファームウェア更新を行う前から、海外SIMについては通信を行うことが可能であり、逆にアップデートによって海外キャリアのSIMカードでLTEを利用することができなくなった――という情報もある。最新版ファームウェアで海外キャリアのSIMカード利用時にLTEが利用できるのかどうかは、追って確認する予定だ。
SIMフリー版のiPhone 6/iPhone 6 Plusは最強のモバイルWi-Fiルータとなるか?
Appleは9月9日(現地時間)、iPhoneシリーズの最新モデルとなる「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」の2機種を発表。日本では9月20日に発売された。
今回のiPhoneはシリーズで初めて、キャリア版と同時にSIMフリー版も発売された。当然「スマートフォン」としても魅力のある機種だが、SIMフリー版のiPhone 6/iPhone 6 PlusをモバイルWi-Fiルーターの代わりに使っても便利だろう。
最も大きな理由は、対応している周波数がFDD-LTEで16、TD-LTEで4つと、従来のiPhone 5s/5cと比べて大幅に増加され、より多くのエリアやキャリアでLTEを利用することが可能になっている点。
国内で販売されているモバイルWi-Fiルーターやスマートフォンのうち、これほど多くの周波数に対応している端末はなく、さまざまなキャリアのLTEを1台で使いたい、という場合は非常に心強い1台になるだろう。
多様な周波数に加えて、iPhone 6/6 PlusではキャリアアグリゲーションやTD-LTEにも対応。国内キャリアの例を挙げると、auのiPhone 6/6 Plusで契約したSIMカードをSIMフリー版のiPhone 6/6 Plusに挿して利用しても、キャリアアグリゲーションやTD-LTEが利用可能であることが明らかにされており、従来のiPhoneと比べて高速な通信が利用できる。
SIMフリー版のiPhoneでは、MVNOのSIMカード利用時や、テザリング利用を禁止しているキャリアのSIMカードで利用するなど、特定の条件に一致する場合を除いて、基本的にテザリング利用も問題なく行える。SIMロックを解除したドコモ端末では、海外キャリアのSIMカードを使ったテザリングができないこともあるため、こういった心配が不要になるのも嬉しい。
iOS 8から実装された「Instant Hotspot」機能を使えば、iPadなどのiOS 8端末や、Mac OS Xの次期バージョンである「Yosemite」搭載のMacから、iPhoneのテザリング(インターネット共有)機能をリモートで有効にできる。ポケットやカバンにiPhoneを入れたまま、「Mac OSまたはiOSに接続されるモデム」として活用できるのは便利だ。
販売価格から考えれば「iPhoneをモバイルWi-Fiルーター代わりに使う」というのは非常に贅沢な選択肢であることは確かだが、対応しているLTE周波数の広さや、Mac OSとの連携を考えると、モバイルWi-Fiルーターとスマートフォンを別々に利用するよりも便利・快適に使うことができることは間違いないだろう。
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