スマートフォンを中心にエコシステムを拡大――Huaweiの端末戦略:山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)
オンラインストアを開設し、日本でもSIMフリースマホの拡販に本腰を入れる中Huawei。販売シェアは世界3位まで上昇し、Samsung、Appleと激しく争っている。今後、どのように事業を拡大していくのだろうか?
このようにHuaweiはスマートフォンのポートフォリオ戦略を大きく改革したことで、同社のブランド認知度を2013年の52%から2014年には65%まで向上させることができた。スマートフォンのブランドも2015年はAscendを廃止、4月に発表されたモデルは「Huawei P8」とメーカー名+型番という認知しやすいものに路線を変更している。消費者との直接の窓口となる店舗やサービスセンターも増やしており、Huaweiストアの数は2013年の398店舗から2014年には638店舗へ拡大。製品に実際に触れることのできる店舗の増加は同社製品の認知度向上に一役買っている。
スマートライフを実現する製品を提供
Huaweiの端末事業は今や、大手メーカーと並ぶブランド力を持ったハイエンド製品をそろえるようになっている。だがこれからは端末をただ販売するだけではなく、スマートフォンを中心に人々の生活をより豊かにする「スマートライフ」の提供を目指していくという。その中核となる製品はもちろんスマートフォンであり、今後も新製品を積極的に投入していく。4月に発表したP8はカメラや独自のユーザーインタフェース(UI)「ナックル・センス」を搭載するなど、使いやすさを大きく高めた製品だ。
しかしHuaweiが目指すのは、そのスマートフォンを中心に、個人データを保存・活用するクラウドサービスとのシームレスな連携や、ウエアラブルやスマートホーム製品との相互接続だ。それにより利用者の生活満足度を高める高度なユーザーエクスペリエンスを提供しようと考えている。
ウェアラブル端末は金属ボディの「Huawei Watch」を2月に発表。またコネクテッド関連では自動車用の車載通信モジュールや、日本でも販売されているシガーソケット装着型のLTEルーターなども販売している。他には家庭用のルーターなどスマートホーム関連機器も製品ラインアップは豊富だ。これらの製品は今まで自社スマートフォンと接続し連携して使うことが考えられてきたが、最近ではパートナー企業と提携し、クロスプラットフォームでの利用も視野に入れている。
例えばウェアラブル端末は米Jawboneや中Tencentとも提携を行っているし、車載モジュールは独Audiなどとパートナーシップ契約を結んでいる。そのために端末用アプリはオープンインタフェース化を進め、他業種との提携を進めている。
IoTやウェアラブル製品はこれから成長が期待できる分野だが、他産業からの参入も相次ぎ競争激化や差別化が難しくなっていく。Huaweiは自社スマートフォンを中心としたスマートライフを提供する製品を拡充するとともに、パートナー企業との提携を通じて端末事業の拡大を図ろうと考えているのである。
関連キーワード
スマートフォン | 華為技術(Huawei) | 中国 | IoT | ウェアラブル
関連記事
- 「中国携帯最新事情」バックナンバー
Huawei、デュアルカメラ搭載のSIMフリースマホ「honor6 Plus」を国内展開
Huaweiは、SIMフリーのグローバルスマホ「honor6 Plus」を国内展開する。直販サイト「Vモール」をオープンし、7型タブレットの「Media Pad T1 7.0」、スマホで使えるNAS「honor cube」も販売する。【画像追加】協業、革新、現地化で日本に貢献――ファーウェイ・ジャパン事業戦略説明会
中国生まれの通信機器メーカー「Huawei(ファーウェイ)」。その日本法人で、創立10周年を迎えたファーウェイ・ジャパンが事業戦略説明会を開催した。写真と動画でチェック――“iPhone 6 Plus対抗”スマホ「honor6 Plus」の見どころ
「iPhone 6 Plus対抗」を目指して開発されたHuaweiの「honor6 Plus」。基本スペックやカメラ機能を中心に、その特徴を見ていこう。「オンラインストア」と「独自端末」が手に入る――Huaweiと楽天がタッグを組んだ理由
Huaweiが新スマホ「honor6 Plus」を発表し、楽天市場のオンラインストア「Vモール」で6月中旬に発売する。両者が協業したねらいとは?楽天モバイル、「honor6 Plus」を4万5800円でセット販売――純正カバープレゼントキャンペーンも実施
フュージョン・コミュニケーションズは、Huaweiのスマートフォン「honor6 Plus」と楽天モバイルのSIMカードとのセット販売予約受付を開始。端末の一括払いは4万5800円(税別)で、純正レザースマートカバーのプレゼントキャンペーンも行う。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.