ドコモ新社長に吉澤氏 加藤社長と二人三脚で「ショルダーフォン」開発
ドコモが6月の社長交代を発表した。副社長の吉澤氏が昇格し、加藤現社長は相談役に就く。吉澤氏は技術出身で、加藤氏と二人三脚で「ショルダーフォン」を開発していた。
NTTドコモは5月13日、吉澤和弘副社長の社長昇格を発表した。現社長の加藤薫氏は相談役に就く。6月の株主総会および取締役会で決定する。
吉澤氏は1979年に日本電信電話公社入社。ドコモ発足と同時に移籍し、黎明(れいめい)期の携帯電話開発、エリア構築に携わった。その後、第二法人営業部長、人事部長、経営企画部長、NTTドコモ・ベンチャーズ社長を歴任し、2014年6月から技術・デバイス・情報戦略担当の副社長を務めている。
加藤氏は2012年6月に社長就任。iPhoneの販売開始(2013年)、定額通話を柱とした新料金プランの導入(2014年)、ドコモ光による固定通信への新規参入(2015年)を決断し、通信事業の3本柱に据えた。またdマーケットに代表される新領域事業、「+d」とよばれるパートナー企業との協業など、経営の多角化も推し進めた。一方、インドの通信事業から撤退したほか、マルチメディア放送サービスのmmbi(NOTTV)、ホテル向けWi-FiサービスのinterTouchなどの不採算事業を整理している。
加藤氏は吉澤氏について、「彼とはかなり古くからの付き合い。携帯電話以前、ショルダーフォンを実用化するという頃に私が課長で彼が係長。二人三脚でがんばっていたころを思い出す。重要な分野の責任者を幅広く経験し、これは社内で右に出る者はいない。副社長以前にも常務、経営企画部長として、経営判断の中枢も担ってもらった。非常に実直で誠実、青年のように若々しい。スポーツマンでもあり、スピード感を持ってドコモを引っ張っていって欲しい」とエールを送った。
吉澤氏は「大変身の引き締まる思い。今後はデバイスとネットワーク、ソフトをさらに発展させて、さらなる付加価値を打ち出すのが使命。ドコモが持つ技術と研究・開発力を生かしたイノベーション、多種多様なデータを活用して、サービスを創造していきたい」と意気込みを語った。パートナーシップによるIoTやAI事業の強化、ネットワーク基盤の強化も図る考えだ。
重要視するのはやはりスピード感で、さらに「モバイル業界は厳しい競争と変化が激しい。これに対応するには、社員1人1人が基地局のアンテナのように高感度でなければならない」とコメント。座右の銘は『失意泰然 得意淡然』。「どんな時も慌てず、騒がずどっしりと、また好調な時もおごらず、冷静でいたい」との思いで社長に臨みたいという。
退任する加藤氏は報道陣から在任中の思い出と“点数”を問われ、「就任から半年は自分の考えで決断できなかった。覚悟ができて過ごせたのはそれ以降だったかなと思う。当初は30点くらい、トータルで及第点は頂きたいと思う。特に(新料金の影響が出た)2014年度の業績不振が強烈で、去来するものがある。ただ、モバイル通信事業の回復と新領域の成長、コスト効率化の進展などで利益回復の道が見えてきた。このタイミングでバトンタッチできたことは大変ほっとしている」と振り返った。
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