最新にして、最良――iPhone 7/7 Plusは、“後戻りできない進化”(3/4 ページ)
フルモデルチェンジとなるiPhone 7/7 Plusは、先代にも増して変化と進化の大きいものになっている。今回、筆者は日本向け製品版をいち早くテストする機会を得た。iPhone 7とiPhone 7 Plusは、どれだけ“最良のiPhone”になっているのか?
違和感があるのは最初だけ――新型ホームボタンの使い勝手
ディスプレイとカメラは、誰もが納得する機能強化ポイント。一方で、古くからのiPhoneユーザーであるほど賛否両論が出そうなのが、物理的な構造を廃止した新型のホームボタンである。
周知の通り、iPhoneのホームボタンは、2007年の初代iPhoneから続く特徴的な機構にして、iPhoneのデザインアイデンティティーである。カチッというクリック感とともにホームボタンを押し込む感覚は、フィジカルな小気味よさとしてiPhoneユーザーの身体に染みついている。そこに何かしらかの安心感を感じる人も少なくないだろう。
しかしiPhone 7シリーズでは、従来の物理的なホームボタンを廃止。ホームボタンがあった場所は少しへこみがあるだけになっている。押した時の感触はTaptic Engineが疑似的に生成しており、物理的な“スイッチ”はそこにない。
この新型ホームボタンを実際に使ってみると、最初はやはり少しの違和感があった。Taptic Engineによるクリック感のフィードバックだと、iPhoneの下部全体が“沈み込む”ような感覚があるからだ。しかし、この違和感は一部で言われているほど大きなものではなく、すぐに体が「これはやはりボタンである」と錯覚するようになる。なぜなら、Taptic Engineによるクリック感は、ホームボタン上に指がかかっていないと作動しないからだ。
そして、この新型ホームボタンには、従来のホームボタンにはないメリットが複数ある。物理的な構造が減ったことでiPhoneとしては初めて防水性能を実現し、また故障のリスクも減少した。またTaptic Engineによるクリック感は、好みの強さ設定することが可能だ。筆者がいろいろと試したところ、これまでiPhoneを使ってきた既存ユーザーは、初期設定の「2」よりも、さらにクリック感の強い「3」にした方が違和感が少ないだろう。
ステレオスピーカー&AirPodsで音楽シーンでも楽しく
iPhoneで忘れてはならないのが「音楽」である。かつてオーディオプレーヤーのアプリを「iPod」としていたように、AppleはiPhoneのオーディオ機能に並々ならぬこだわりを持っている。iTunes Storeの音楽サービスも合わせて、iPhoneはスマートフォンの中でも屈指の使いやすくて便利な音楽環境を持っている。少し大げさな言い方をすれば、AppleはiPodの時代からずっと音楽シーンを変え続けているのだ。
そしてiPhone 7では、“オーディオ”の部分で2つの変革が行われた。「内蔵スピーカーの機能強化」と「ワイヤレス化の推進」である。
まず内蔵スピーカーの強化では、単純にステレオ化がされただけでなく、音質と音量の両方が大幅に向上している。ボリュームを上げればモバイルスピーカー並みの音量になり、しかも最大音量でも音楽や映像の音が割れない。これまでの電話機のスピーカーから、きちんとサウンドを楽しむためのスピーカーになっている。自分の部屋や旅行先のホテルなどで気軽に音楽や映像を楽しむのなら、イヤフォンを使わず内蔵スピーカーでも十分に満足できる。また、音量を上げても聞き取りやすいので、YouTubeで見つけた動画を恋人や家族とカジュアルに楽しむといった用途にも最適である。
iPhone 7/iPhone 7 Plusの内蔵スピーカーは、そのままで十分にクオリティーが高い音が再生できる。さらに新型Retina HDディスプレイは映画品質の色再現性であるため、気軽に映画を見る端末としては最適だ
また個人的に重宝したのが、iPhoneでカーナビアプリを使う時だ。従来のiPhoneよりも音質・音量ともに向上しているので、ルート案内の音声が聞き取りやすい。無論、自分のクルマでカーナビアプリを使うのなら、LightningケーブルやBluetooth接続でカーオーディオから音声出力した方が聞き取りやすいのだが、例えば旅行先のレンタカーやカーシェアリングのクルマでカーナビアプリを使う際などは、iPhone単体で音声ガイドが聞き取りやすいというのは便利だろう。
一方、オーディオ出力のワイヤレス化では、3.5mmのアナログイヤフォン端子の廃止が1つの象徴といえる。Appleはイヤフォン端子廃止の代替として、Lightning端子のイヤフォン利用や、過渡的なものとしてLightning端子とアナログイヤフォン端子の変換ケーブルなど用意しているが、真の狙いは音楽を聴くのに邪魔なケーブルそのものをなくしてしまうことだ。そのためにわざわざ独自のワイヤレスオーディオチップ「W1」まで開発した。
関連キーワード
iPhone 7 | iPhone 7 Plus | Apple | AirPods | iPad Pro | 手ブレ補正 | Retinaディスプレイ | Apple A10 | Apple Pay | Apple TV | デュアルカメラ | iTunes Store | Siri | Suica
関連記事
手にして実感、さわって納得――iPhone 7/7 Plusは紛れもない「フルモデルチェンジ」だ
日本は特にiPhoneのシェアが高く、スマホユーザーの約半分がiPhoneユーザーという高い人気を誇っている。日本人の多くが注目する新型iPhoneはどのようなものか。ハンズオン会場から、ファーストインプレッションをお届けしたい。注目は、性能向上よりも新機軸――iPhone 7/7 Plusは新たなステージへ
9月7日(現地時間)に開催されたApple Special Event。テクノロジーとリベラルアーツの交差点から、人々のライフスタイルを、世界そのものを革新してきたAppleが、新たに何を語ったのか。サンフランシスコの地からレポートを届けたい。「iPhone 7/7 Plus」はココが進化した――iPhone 6s/6s Plusと比較する
いよいよ発表されたAppleの「iPhone 7」と「iPhone 7 Plus」。前モデルのiPhone 6s/6s Plusから何が変わったのか? 外観や主要なスペックを比較した。「iPhone 7」のカメラはどこがどう進化したのか
Appleが発表した「iPhone 7」と「iPhone 7 Plus」のカメラ性能は、「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」と比べてどれくらい進化しているのか。実機を見てみないと分からない部分もあるが、分かっているところからあれこれ考えてみた。iPhone 7はお風呂で使えるの? 防水・防塵「IP67」の意味を解説
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.