「Snapdragon 845」で何が変わる? “順当進化”の中身を解説する:Snapdragon Tech Summit 2017(3/3 ページ)
Snapdragon 845を一言でいえば「順当進化」だ。全体でパフォーマンスが向上した他、映像表現、カメラ、VR/AR、セキュリティも強化されている。その内容を見ていこう。
1.2Gbps通信が可能に&DSDVにも対応
Snapdragon 845における機能ハイライトは、通信技術に強みを持つQualcommならではの特徴といえるモデム機能だ。こちらも基本的にはギガビットLTEをサポートした835の順当進化にあたるが、第2世代にあたるX20 LTE Modemを採用し、下り方向で最大1.2Gbps(Category 18)と20%ほど高速化が期待できる。1.2Gbps通信は20MHz×5のキャリアアグリゲーション(CA)と4x4 MIMO、そしてLicensed Assisted Access(LAA)の仕組みで実現される。
また、1~1.2Gbpsの通信を実現するため最低でも3つのCAを行う必要性から、周波数帯域のコンビネーションが複雑になっている。だがQualcommによれば、現状のコンビネーションで世界の携帯キャリアの9割の需要をカバーできるとのことで、このあたりは世界展開が前提となっている同社ならではの強みといえる。
そして通信の待ち受けとしては「Dual SIM - Dual VoLTE(DSDV)」に対応する。SIMロックフリー端末を中心に最近増えてきたDSDS(Dual SIM - Dual Standby)端末だが、従来の4G+3Gのような組み合わせではなく、LTE同時待ち受けが今後の主流になるとみられる。背景には、CDMAキャリアを中心に(音声通話の受け軸となる)3GからVoLTEへの移行が急速に進んでいる他、インドなどではLTE専業キャリアなどが出現しており、音声通話でのVoLTE対応が必須となっているためだ。そのため、DSDVのような仕組みは非常に重要になると考えられる。今後5G移行を見据え、よりその傾向は顕著になるだろう。
関連記事
「Windows on Snapdragon」正式ローンチ、ASUSとHPが対応製品を発表 Snapdragon 845も披露
Qualcommが「Windows on Snapdragon」の正式ローンチを発表。ASUS、HP、Lenovoの3社がパートナーとして対応製品を投入する。次期プロセッサの「Snapdragon 845」も披露した。「Snapdragon 835」の性能はどこまで向上した? ベンチマークテストを試す
Qualcommの最新プロセッサ「Snapdragon 835」の性能を体験できる「Benchmarking Workshop」に参加。小型化や低消費電力化が特徴だが、CPUの性能はどこまで上がっているのだろうか。各種ベンチマークアプリで試してみた。Gigabit LTE、新しいVR体験、セキュリティ機能の強化 「Snapdragon 835」で変わること
最新のモバイルプロセッサ「Snapdragon 835」の性能が高いことは分かった。では、実際の利用シーンでどんなメリットがあるのか。Qualcommが中国・北京で開催した「Snapdragon 835 Benchmarking Workshop Beijing」で体験してきた。Quick Charge 4.0や下り1GbpsのLTE通信に対応――「Snapdragon 835」発表
Qualcommがモバイル端末向けの最新プロセッサ「Snapdragon 835」を発表。Snapdragon 820と比べて小型化や低消費電力を実現。モバイル通信やWi-Fi通信の性能も向上している。驚異的なバッテリー駆動時間でPCを変革か SnapdragonがWindows 10にやって来る日
LTE内蔵のモバイルPCが増えつつある中、開発が進んでいるSnapdragon 835搭載Windows 10 PCでは、さらに「驚異的なバッテリー駆動時間」という付加価値を得られそうだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.