Huaweiがau向けスマホを投入する狙いは? 呉波氏が語る:CES 2018(2/2 ページ)
auの2018年春モデルでは、Huaweiのスマートフォン(nova 2)を扱うことが話題を集めた。Huaweiがau向けスマホを投入する真意は? これはキャリアビジネスにシフトチェンジする布石なのか?
Mate 10 Proは半年分の在庫が1カ月で売れた
―― 今回のCES 2018では、北米でHUAWEI Mate 10 Proが発売されることが発表されました。日本では、既に12月から発売されていますが、反響はいかがですか?
呉波氏 Mate 10 Proの販売価格は8万9800円(税別)で、税込では10万円近く(9万6984円)になります。量販店などから「かつて約10万円で成功した端末はない」と聞いていたのですが、2016年の12月にHUAWEI Mate 9を発売した際に、多くの店で欠品してしまったので、今回のMate 10 Proは、欠品しないことを保証し、事前に十分すぎる在庫を確保していました。しかし、発売初日に、2~3週間分、あるいは1カ月分として用意していた在庫を売り尽くす店もあるほど売れました。ただ、今回は十分な在庫を用意していたので、品薄になった店舗には、すぐさま補充できています。
発売から1カ月以降たちましたが、もともと半年くらいを想定した台数が1カ月で売れました。しかも、今なお好調な売れ行きを維持しています。また、前モデルのMate 9も落ち込むことなく売れ続けています。SIMフリーなので、キャリアのスマホのような端末の購入補助は付きません。消費者によって、かなり高額であることは否めません。それでも、売れています。
そういう状況を受けて、量販店の偉い方との面会が実現できました。Huaweiを重要なパートナー企業と認識し、私に「会いたい」と言ってくださったわけです。
―― そういう高価なハイエンドモデルこそ、キャリアから買いたいと思う人が多いのでは?
呉波氏 毎日、VOC(消費者の声)を読んでいますが、いまのところ、そういう声はないようです。ですが、インターネットの掲示板では、そういう意見も見かけます。とはいえ、弊社にとってSIMフリーが重要な市場であることには変わりはありません。今後もさらに力を入れていきますし、2018年は日本のSIMフリー市場について、2017年の2倍のリソース(ヒト・モノ・カネ)を投入します。
新しいメーカーの参入は歓迎する
―― 2018年のSIMフリー市場をどのように展望されていますか?
呉波氏 2017年の第4四半期に(格安SIMについて)ややマイナスの情報もありました。実際、日本のSIMフリー市場から撤退したメーカーもあります。しかし、私個人の意見ですが、2018年のSIMフリー市場は、さらに50~100%の伸びがあると予測しています。
なぜそう思うか? それは、より多くの日本の業者がこの市場に参入しつつあり、参入している会社が実際にもうけているからです。アフターサービスを手掛ける会社や、広告会社、印刷会社など、関わる企業も増えています。端末メーカーとしても、どんどんお金をつぎ込んで、各企業にお金が回るようにしなくてはいけません。また、日本のSIMフリー市場は、スマホの価格を確実に下げているので、消費者にもメリットがもたらされます。
弊社がNPS(ネット・プロモータ・スコア)を導入して、指標にしていますが、SIMフリースマホに対するお客さまの満足度はびっくりするくらい高い。また、メーカーの動向を見ていると、今後さらに多くのメーカーが参入してきます。市場が拡大しているからこそ、参入する企業が増えるわけです。
―― 新しく参入するメーカーとして、OPPOの名も挙がっていますが?
呉波氏 弊社は、かねて日本のSIMフリー市場に多くのメーカーが参入してほしいと公言していました。ですので、新しいメーカーの参入を歓迎します。小さなケーキをみんなで分けて食べる場合、ケーキが大きくなると、ひと切れのサイズも大きくなりますよね。市場が拡大し、良好な競争が生まれることを望んでいます。新しく参入するメーカーには、“郷に入れば郷に従え”で、日本のルールに従って、事業を進めていただきたいですね。海外メーカーの場合、自社だけを代表しているわけではなく、業界全体への影響も考えるべきだと思います。
―― 今回のHUAWEI nova 2の発売により、日本市場における知名度はさらに上がるのでは?
呉波氏 実際のところ、SIMフリー市場に参入する以前は、弊社の認知度は低かったと思います。この4年間、一生懸命に取り組んできて、認知度、知名度を大幅に上げることができました。今回、auと組ませていただくことで、さらに上のステージにあがれると思います。それがSIMフリー市場にも波及するといった相乗効果も期待しています。
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