OPPOが世界で急成長を遂げた理由 日本では“キャリア市場”進出を狙う:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
日本進出を果たしたOPPOは、世界4位、アジア1位のシェアを誇るほど急成長を遂げた。そんなOPPOが、日本の一部メディアに生産工場を公開。開発担当が報道陣からの取材に応じた。
日本市場の先にあるアジアへの反響や欧米のキャリア市場
では、なぜOPPOはあえてハードルの高い日本に新規参入したのか。ヴィンセント氏によると、その価値は3つあるという。1つ目が、「ブランド価値の向上」(同)だ。ヴィンセント氏によると、「日本は発展していて、他のアジア市場への影響が大きい。もし成功できれば、他の地域でのブランド作りにも貢献する」という。“あの日本で大ヒットした○○”といった売り文句を、海外で使えるようになるということだ。
実際、過去にはHTCが「HTC J butterfly」をKDDIと共同で開発し、他の国や地域に展開した例もある。もしOPPOが日本で売れ行きを伸ばすことができれば、同様の手法が取れるかもしれない。
キャリアのシェアが大きな他の地域に進出する際に、日本で学んだノウハウを生かすことも視野に入れている。狙いは欧米だ。ヴィンセント氏は「日本に進出することで(キャリア市場の)特徴をつかみ、マーケティング対策をすることができる」と語る。「高度なキャリア主導市場での経験を生かせば、米国や欧州を攻めることもできる」(同)というわけだ。日本進出は、キャリア市場に本腰を入れ始めた証拠ともいえるだろう。
日本の若年層を攻略し、そのマーケティング手法を他地域に展開したいという狙いもあるという。中国や東南アジアでは、若年層に人気の高いタレントを次々と起用し、派手な広告展開をしているOPPOだが、その手法にも限界がある。
「日本は、(単純なプロモーションの)影響を受けづらいユーザーが多く、一般的な方法だとなかなかコミュニケーションが成り立たない。逆に、日本で若者と効率的にコミュニケーションできるようになれば、他の地域のマーケティングにも貢献できる」(ヴィンセント氏)というのが、OPPOの考えだ。
もっとも、OPPOは日本市場攻略に「何年をめどにといったスケジュールは立てていない」(ヴィンセント氏)といい、腰を据え、じっくりビジネスを拡大していく方針を掲げている。今はあくまで「日本で通用するマーケティング方法の確立と、ローカルチームの立ち上げに注力している」(同)段階だ。
日本での人材獲得も進めており、2018年には、200人を採用する計画を打ち出している。短期的な結果だけで判断し、すぐに縮小・撤退するメーカーとは一線を画していることがうかがえる。結果が出るのはもう少し先になりそうだが、今から注目しておきたい1社といえる。
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