「ニーズが無い」から6年 中古端末のSIMロック解除で思うこと:5分で知るモバイルデータ通信活用術(2/3 ページ)
中古端末に対するSIMロック解除制限が、事実上撤廃されました。一見すると良いことばかりに見えますが、まだ課題が見え隠れしています。
auとソフトバンクは解約済み端末のロック解除が「有料」
これで中古端末でもSIMロックを解除して好きなキャリアで使いやすくなったわけですが、実は問題も残されています。解約済み端末のSIMロック解除手続きの方法です。
NTTドコモでは、「dアカウント」さえ持っていれば解約済み端末でもWebでSIMロックを解除できます。この場合、手数料は無料です。オンラインで解除できない端末(iモードケータイやデータ通信端末)についても、ドコモショップ店頭において無料でSIMロック解除できます(※2)。
※2 オンライン手続きの対象端末をドコモショップ店頭でロック解除する場合は、1台当たり3000円(税別)の手数料がかかります
一方、auとソフトバンクは解約済み端末はショップ店頭でのみ解除手続きを受け付けます。また手数料も1台当たり3000円かかります。
改定されたSIMロック解除に関するガイドラインでは、キャリアに義務付けられるSIMロック解除への対応について、それを推進する立場からこのような記述を盛り込んでいます。
事業者は、インターネットや電話等の迅速かつ容易な方法により、無料でSIMロックの解除を行うものとする。
一方、同じガイドラインには以下のような記載もあります。
事業者が無料でSIMロック解除可能な代替手続を設けているにもかかわらず、利用者の選択により店舗等での解除を行う場合には、事務手数料を請求することを妨げるものではない。また、既に自社の役務契約を解約した利用者について、店舗での解除を行う場合には、事務手数料を請求することを妨げるものではない。
簡単にまとめると、Webや電話といった簡単な方法で無料でSIMロックを解除できるようにすることを求める一方で、店頭でのSIMロック解除については手数料を徴収することも認めているのです。
昨今、キャリアショップの混雑が店舗側にも契約者側にも大きな負担になっていることが問題となっています。手続きに関する説明や作業が発生する以上、店頭でSIMロック解除を行う場合に手数料が発生することは仕方のないことです。店員さんはボランティアではありません。
問題は、auとソフトバンクでは店頭で有料で解除する選択肢しか用意されていないことです。先述の通り、ドコモではWebにおいて無料でロック解除できる選択肢を用意しており、Web解除に対応していない一部端末についてはショップ店頭において無料で解除に応じています。それと比べると、auとソフトバンクの対応には「どうして?」という疑問がつきまといます。
この点について、先日行われた総務省の会合で、KDDIとソフトバンクが考えを述べています。
両社ともに「オンラインでの本人確認に懸念があるため」という旨の説明をしていますが、両社では直営のオンラインショップで新規契約や機種変更の手続きを受け付けています。「オンラインでの本人確認に懸念がある」のであれば、オンラインでの新規契約、購入方法によっては機種変更も受け付けられないはずです。
結局、KDDIとソフトバンクは「やらないための言い訳」に終始しているように見えます。「ドコモができているんだから、あなたたちもやりなさい」と強いるつもりはありませんが、それでもちょっと考えてほしかったです。
一連のSIMロック解除への対応を見ていると、ソフトバンクモバイル(当時)の孫正義社長(当時)が2013年夏モデル発表会で「SIMロック解除にはニーズが無かった」と発言したことを思い出します(参考記事)。
ソフトバンクはもともと、SIMロック解除に応じることにあまり乗り気ではなかったように見受けられます。SIMロック解除に関するガイドラインが強化されるにつれて態度を軟化させたようにも受け取れますが、あの発言から6年と少し経過し、今回の改定における対応を見る限り、総務省に言われた以上の対応はしたくないのかもしれません。
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