インタビュー

楽天モバイルに聞く「Rakuten Mini」開発秘話 なぜ自社ブランド端末が必要だったのか(2/3 ページ)

楽天モバイルがMVNO時代から注力していたのが端末ラインアップだ。MNOのサービス開始に合わせて、自社ブランドの「Rakuten Mini」を投入した。Rakuten Miniの開発や販売に携わった楽天モバイルのメンバーに、同モデルの特徴やラインアップ全体の方向性を聞いた。

約2万円という低価格を実現できた理由は?

―― 自社企画、自社ブランドの端末は初めてだったと思います。形にするには、いろいろと大変なこともあったのではないでしょうか。

塚本氏 先ほど、一昨年の11月、12月からスタートしたとお話しましたが、実は僕が楽天に入社したのも、そのころのことです(笑)。こういうものをやりたいというお話を受け、楽天に入って始めています。初めは人も少なく、ODMのパートナーを決めるのも少ない中でやっていたので大変でしたが、月がたつごとにメンバーが増えていき、セールスの方々も入ってこの端末をどう作るか、どう売るかというところまで話が進んでいきました。

―― FeliCa搭載など、機能も充実していながら、価格が2万円程度だったことにも驚きました。2万円というと、どうしても改正・電気通信事業法の端末購入補助の上限額を思い出してしまうのですが、そこは意識されたのでしょうか。

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塚本氏 価格については、ODMと直接やりとりしたのが大きいですね。僕がメーカー出身ということもあり、BOM(Bills of materials=部品表)の積み上げで、あのぐらいの調達価格に収まることはイメージしながら話をしました。コストの議論も、直接やりとりできたのが大きなポイントです。

小野木氏 販売価格に関しては、純粋に卸していただける価格に対して一定の販売利益を乗せているだけです。そのフレームワークに乗せたら、ちょうどあの価格になりました。2万円という上限を意識したことは一切なく、自然体にお手頃な価格を実現できたと思います。

OSバージョンアップは計画していない

―― ソフトウェアに関して、ユーザーインタフェースが独特ですが、同程度のサイズの端末も似たような仕上がりになっています。あれはオリジナルなのでしょうか。

塚本氏 オリジナルです。ただ、オリジナルですが、設計とイメージをお伝えして、あとはODMにお願いしています。他の中国メーカー製端末にああいったものが搭載されているのは知りませんでしたが、もしかすると、そういったことでテイストが近くなっているのかもしれません。


ホーム画面が縦方向にスクロールする独自のUIを採用している

―― ソフトウェアアップデートについての方針を教えてください。メーカーによってまちまちですが、ここはどのようにお考えでしょうか。

塚本氏 セキュリティアップデートは、数カ月に1回の単位でやっていきます。ただし、OSバージョンアップは、カスタム品という扱いなので、今のところ計画はしていません。オリジナルで作っているので、OSを上げて、何か(トラブル)が発生することは避けたいと思っています。

楽天端末の中でトップ3の売れ行き

―― 実際に発売してみて、反響はどう捉えていますか。

田中氏 一言で言うと、期待以上の反響でした。詳しい方には、楽天モバイルが初めて出した端末と分かった上で、手に取っていただけています。ポジティブな意見が多いというのが、直感的な印象です。ちょっとした外出時の持ち歩きに便利、小さくてデザインもいいといった意見も聞きます。ランニング時に持ち運び、音楽とおサイフケータイに使うというユースケースも想定していましたが、想定通りの使い方をされている方もいます。売れ行きに関しては、UN-LIMITプランで買える端末の中では、トップ3に入っています。

―― どういった層に受けているのでしょうか。

田中氏 新しいデバイスやテクノロジーに興味がある方は多いですが、だからといって男性に寄っているかといえば、そうでもありません。男女年齢問わず、使っていただけています。新しいライフスタイルにこだわっている方に使われているのではないでしょうか。事前に調査をしたときも、女性に小型の端末を待ち望んでいる方が多くいました。そういう方々も使われているため、いわゆるギークな方だけにウケているかというと、そうでもありません。

―― カラーバリエーションごとの傾向はいかがでしょうか。後から発売されたクリムゾンレッドはコーポ―レートカラーでもありますが、人気のほどはいかがですか。

田中氏 レッドが出てまだ間もないこともあり、アップルトゥアップル(同条件)で比較できませんが、印象としては満遍なく売れています。ブラックやホワイトを好む方は、端末の場合どうしても多くなりますが、うまく散っているという感じです。


4月17日に新色としてクリムゾンレッドも発売した

―― ちなみに、やはり皆さんeSIMでの契約と一緒に端末を買われているんですよね。単体販売もしていますが、そちらはいかがでしょうか。

田中氏 楽天市場だけでなく、楽天モバイルのサイトからも端末だけを購入できるようにしています。バンドルということは強調していませんが、eSIMということもあり、基本的には一緒に買っていただくことが多いですね。ただ、中にはギークな方もいるので、端末で買われてIIJのeSIMを入れてみたり、GoogleのFiを入れてみたりという方もいます。1月に販売を開始したときは、そういった質問もコールセンターに来ていました(笑)。

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